完全に眠ったら、やられる。
あー、ありますね、ありますあります。
既に人間社会そのものが戦場と化しているワケですから、いつ襲われたっておかしくない現代、不用意にベッドでぐっすり眠ってしまうなんて言語道断、リスクマネージメントがなってない証拠です。
寝ているときでさえ即座に反応できるように、片手には銃を持ち、椅子に座ったまま眠るのが正しい姿勢です、ええ。
20年もの前の作品になりますが、未だに色褪せない屈指の名作、殺し屋レオンと復讐少女マチルダの凶暴な純愛(当時の日本でのキャッチコピー)を描いた『LEON(レオン)』では、こんな台詞がありますね。
「まともに眠ったことはない。いつも片方、目を開けてる」
な、なんだってぇーーーー!?
すげぇ、レオン、すげぇ。
当時の僕は、正直疑問にも思わなかったです、だってレオンなら、それくらいできそうだったもの。眠っているときすら油断しない、これが生き残るために人類が辿り着いた結論か。殺し屋の必須スキルだね、くらいに思ってたワケです(そのシーンでは絶対爆睡してましたが)。
『LEON(レオン)』は、1994年製作のフランス・アメリカ合作映画。
レオン・モンタナ :ジャン・レノ
マチルダ・ランドー :ナタリー・ポートマン
ノーマン・スタンスフィールド(スタン) :ゲイリー・オールドマン
監督 :リュック・ベッソン
いま見ても、すごメンバーだ。
殺し屋稼業を営んでいるレオンのところに、一家惨殺から一人だけ難を逃れたマチルダが転がり込んでくるところからストーリーは始まる。殺し屋としてしか生きてこなかったレオンは、邪魔なマチルダを最初は消そうとすらする。しかし共同生活をしていくうちに、生きることの意味をマチルダの中に見つけていく。一方マチルダは、レオンに心魅かれながらも、殺された弟のために復讐を決意していた。そして・・・・・・
という、ありがちっちゃ、ありがちの物語なのだが、ジャン・レノとナタリー・ポートマンのオーラが全開で、イカれたゲイリー・オールドマンのエッセンスが加わり(これ以降、イカれた役が多かったなぁ)、独特な世界観を紡いでいくんですよ。
そしてそれを余すことなく構成し、クールさとコミカルさとスタイリッシュさを併せ持った完璧とも言えるストーリーを展開・・・・・・さすがはリュック・ベッソン監督。これ以降、ちょっと作風が変わってしまったけど、『グラン・ブルー』と『ニキータ』を含む世界観は、まさにリュック・ベッソン監督なのだ。
当然に当時の僕は、黒いロングコートに、特殊な形の革のケース、丸メガネに丸帽子を買いました。当然です、はい。
あのレオンの持ってる、革のケースあるじゃないですか?あれ、名称が未だにわからないんですが、実は、あの形が日本では売ってなくて、すごい頑張って海外から取り寄せました。確か12万・・・とかしましたが、やばいカッコ良かったんですよー。ただ、それで街を歩くと、けっこう変な目で見られます。
そんな超名作、まさに文字通り名作を超えた名作とも言える『LEON』ですが、あえて、あえて一言で言うのであれば。
マチルダが可愛い。
これに尽きます。
完璧な映画、は世の中には少ないですが。
この『LEON』と、『ショーシャンクの空に』は、同じ1994年の公開作品ですが、1990年代では、まさに“完璧な映画”と言っていいでしょうね。
さて、今の僕は、ここで済ませるワケにはいきません。
アレを、あのことを調べなければなりません。
『片目だけ開けて眠る』は、殺し屋には必須の能力。
しかし。
果たしてそんなことが可能なのか?
ま、まずは結論から。
人間には不可能。
うぐっ。
ざ、残念・・・残念すぎる!!!
うわぁぁああああん!!(どうした?)
非常に残念なことですが、人類にはその機能は備わっていませんでした。
物理的に、脳の構造がそうなっていないとのことです。そして瞼の構造もそうなっていないようです。人間が瞬きせずに目を開け続けていたら、一瞬で結膜炎になって、そもそも論、とのこと。
さすが生物ヒエラルキーの頂点にいる人類、この進化は、身を守るべき相手などいないということなのでしょう。ヒトの天敵は、ヒトだけなのです。
・・・くっそぅ、なんかアレだ・・・調べるんじゃなかった。何故かとても悔しい。まったく、なんて日だ!
でもですね、生物界の中では、これをやってのける動物がいます。
最も顕著なのは、爬虫類最強のワニ。
ワニは片目だけ開けて眠ることができます。
周囲の警戒を怠らないようにしながらも、睡眠は必要なので片方の脳だけを休ませているのではないかと考えられているそうです。
あとはイルカ、渡り鳥。
長長時間の泳ぎや飛行が必要な生物は、活動しながら休まなけれならないので、こういった機能が備わっているのですね。
やるな、イルカ。同じ哺乳類のくせに。
しかし、人間でも、この片目を閉じるという行為、あながちまったく無意味、という訳でもありません。さすがにそのまま眠ることはできませんが。
リアルな戦場にいる兵士のような方々の場合、戦闘が繰り返されれば、簡単に眠ってしまうワケにはいかない状況もあります。戦闘中はもちろん、移動中の奇襲や夜襲に備えながら動き続けるとなると、一瞬の警戒の怠りが命取りになる。これは実際にそうでしょう。交代制で仮眠でもとれればいいのでしょうが、それが叶わない場合もあるはずです。
ものすごく平々凡々な僕たちで言うと、大学の授業とか?
麻雀で徹夜明けした挙句の午前の授業が必修で出欠アリだった場合などは、出なければならないし、授業中に眠ってしまうワケにもいかない。
クッソつまらんセミナーに会社の上司と行ったときとかも?
同じだこれ、同じだよ!まさに戦場や!(違う)
脳の構造上、片目を閉じるだけで、疲労速度は少し改善します。
何故か?
目から得られる視覚情報が減る、ということは、脳の処理が減るということで、それだけ、脳への負担が減るということなのですね。ですので、切羽詰まっているような状況下で、眠ってはならないけど、このままでは体力が尽きてしまう、というようなときは、周囲を警戒しつつも片目だけ閉じて疲労を軽減する、ことはできそうです。
もちろん、両目を閉じればさらに処理する情報量が減ることになるので、さらに疲労を抑えられます。うん、それもう、寝てますね!
片目だけ開けて眠る。
僕も何度かチャレンジはしてみたのですが、やっぱり気付いたら、普通に眠っちゃうんですよね・・・・・・危機感が足りないのか・・・・・・。
でも僕は、それでも信じています。
レオンなら、レオンなら片目を開けたまま眠ることができると。
サバイバルポイント
片目を開けたまま眠ることはできない。でも片目を閉じるだけで脳を休ませることはできる。