皆さん、ドッグフード、食べたことありますか?
僕はあります。
小学生の頃、飼っていたワンちゃんが、やったら美味しそうにガフガフ食べるので、純然たる興味のみで食させていただきました。他に食べるものすらなかった少年時代とか、実はサバイバル世代だったとか、そういうことはありません。
そのときは、食べられるのかどうかとか、そういう疑問すらなかったワケですが。
ものすっご、不味かった。不味かったんですよ、はい。
あ、そのときは袋に入っているカリカリの方ですね。ウェットじゃないやつ。
缶詰タイプのウェットの方は、何故か大人になってから試しましたが、不味いというか、味がないというか。何かこう、感想もないというか。
ドッグフードと言えば、『マッドマックス』という映画を皆さんはご存知でしょうか?
かなり古い作品ですが、2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』としてリメイクされたばかりですので、作品名そのものは知っている方も多いのでは(リメイク版は、かなーり賛否両論あると思いますが)。
しかしまぁ、何と言いますか、旧作の『マッドマックス』、いいえ、ここでは、その続編、『マッドマックス2』になるのですが、この作品はそういう次元で語ることができません。
『マッドマックス2』 1981年公開 監督:ジョージ・ミラー 主演:メル・ギブソン
世界大戦で文明崩壊し荒廃してしまった世界で、水も食糧もなく、貴重な存在となったガソリン(石油)を巡り、モヒカン頭の暴走族がヒャッハーしながら暴れ回る中を、前作で妻子を殺されてしまった主人公のマックスが、相棒の犬と共にさすらいながら強く生き抜いていくガチのアクション映画です。
・・・ん?
文明崩壊、モヒカン、暴走族、ヒャッハー・・・・・あれ?何処かで聞いたことがあるぞこれ。
そうです、『マッドマックス2』は、あの『北斗の拳』に、多大なる影響を与えた作品なのです。
映画を見てみるとわかるのですが、モヒカンヒャッハーは勿論、砂漠を突っ走るバギー、宙を舞うオフロードバイク、何に意味があるのかわからないトゲトゲの肩パットと、けっこうまんまです。主人公の服装センスも、なかなかにまんまです。
さて、その『マッドマックス2』では、ファンの中では未だに語り継がれる名シーンとして、開始16分くらいで、食糧難の中、マックスがドッグフードを食べるシーンがあるのですが、これがもう、何の違和感もなく食べる、むしゃむしゃ普通に食べる。
ドッグフードの名前は『Dinki-Di』、意味的には『本物』です。
勿論、架空のドッグフードです(※上記のはレプリカ版の貯金箱です)。
あまりにもメル・ギブソンが普通に食べるのでスルーしてしまいそうなのですが、最初の疑問に戻りましょう。
ドッグフードって食べられるの?
まず結論から。
食べられます。
うん、それはわかってたよね。
僕自身、フツーに食べてみたワケだし、サバイバル系の映画だと、何気にドッグフード食す率、高い気がするもの。
それ自体はいいとして、これを簡単にスルーしてはいけないと思うのです。
本当に食べて平気なのか?
ここは少し突っ込んでおくべきだと思うんですよ。
今こそ、小学生のときの己を導くときが来たのだっ!!
何故、ドッグフードは食べられるのか。
①人間と犬の必要としている栄養バランスがほぼ同じ
人間はいわゆる「雑食」と言われ、犬は「肉食系雑食」と言われますが、長い間、一緒に共生してきたからか、栄養バランスが非常に似通っています。そのため、犬の栄養バランスを考えて作られたドッグフードは、人間にNGなものにはなっていないのですね。
ついでに猫も加えて、三大栄養素に限って数値化したものを見てみましょう。
ヒト:①脂肪14% ②タンパク質18% ③炭水化物68%
イヌ:①脂肪15% ②タンパク質25% ③炭水化物60%
ネコ:①脂肪20% ②タンパク質35% ③炭水化物45%
やはり人は、炭水化物を多めに必要としますが、構成は犬とほとんど変わりません。これは逆も然りで、人間と同じもの(夕食の残りとか)をワンちゃんにあげても、大きな問題にはなりにくいのです(小型犬や室内犬はこの限りではないので注意です!)。
食生活で注意すべきは、むしろ猫。猫も人間との暮らしは長いはずですが、未だに肉食そのもの。さすがニャンコ先生、クール、マイペース、決して人間には靡かない。猫は割合的に脂肪とタンパク質を多く必要とします。つまり、肉の比率を上げる必要があるのです。
猫にとっての人間食は、栄養価が高すぎる一方で、タウリン不足(猫は体内で生成できない)になってしまうため、太った上に目が悪くなる、みたいな症状を良く見かけます。同じものをあげたくなっちゃうのはわかるのですが、猫にはキャットフードがベストなのです。
ちなみに、キャットフードも人間は食べられます。
摂取する栄養の比率が異なるとは言っても、おおよそ同じではあるので、当然非常時に食すくらいであれば問題ありません。そして、ここがポイントですが、ドッグフードよりも遥かに美味しい、のです。猫は犬に比べると味覚にも敏感で、不味い、と思ったら急にプイっと何処かに行ってしまうくらいです。よって、キャットフードには旨み成分がたっぷり入っているのですね。栄養バランス自体はドッグフードよりも落ちますが、味はちょっと上、なのです。
当然、注意点もある
①賞味期限がやたら長いものには注意
賞味期限が1年間もあるようなものは、保存のため添加物がてんこ盛りの可能性が高いです。法的に、人間の食べ物では禁止されていても、犬の食べ物では禁止されていない成分などもあります。というか、犬にも添加物は良くないので、犬だからOKという話ではありません。
最近では、無添加のドッグフードが主流で、長くても1か月程度の賞味期限です。
②原材料に「◯◯等」「◯◯ミール」「◯◯パウダー」と表記のあるものには注意
ドッグフードは、当然、ワンちゃん用ですので、本来であれば人間用の食材には使われない(法的には禁止されている)、動物の内臓とか骨とか爪とかも入っていることがあります。それらをマルっと表記すると、「チキン等」とか、「チキンミール」とか、「チキンパウダー」とかになります。
例えば、こういうことです。人間が食べるためには、チキン一匹、食べられる部位を取り除いていきますよね?内臓とか頭部とか目玉とか足先とかは、基本、人間の口には入りません。ちょっとグロい話になりますが、チキン一匹を丸ごと、トサカから爪先まで、ミキサーにかけてすり潰したとします。極端な話、これが「チキンミール」です。「チキン等」に至っては、チキン以外の何か、が入っているということですので、もはや怪しさ100倍です。何かって何だよ、何かって!と机を叩きたくなるのは当然です。要約すると、本来ヒトNGなものが、イヌOKなドッグフードには入っている可能性がある、ってことです。
③美味しくない
ワンちゃんの味覚は、人間のそれと比べるとだいぶテキトーなので、味付け自体はあまり考えられて作られていません。こればかりは仕方ないですね。ドッグフードである以上、これが改善されることはないでしょう。味的にはキャットフードに軍配が上がります。
ここで皆さんに朗報です。
日本国内におけるドッグフード・キャットフードは、既に業界ルールが敷かれていて、かなーりの進化を遂げています。さすがは日本の愛犬家・愛猫家、そして常に全力を尽くす技術者たち(マジ、リスペクト)。
上記の注意点①②は、どのメーカーも既にクリアしているに等しく、どうしても食べるものがないときは、日本製のドッグフード・キャットフードなら迷わず口にしても問題ありません。ドッグフードでしのいでいる間に、ちゃんと人間食を見つけましょう。
ドッグフードは人間でも食べられる。
それは一つの答えですが、あくまでも「食べられる」であって、「食べるべき」でもなければ「食べなければならない」でもありません。あくまでもサバイバル時の食料確保の選択肢のうちの一つです。このことは肝に銘じておきましょー。
サバイバルポイント
ドッグフードは食べられる。けど、程々にしておこう。