一人で無人島に取り残されたとき、何処から始めますか?
水の確保?
食糧の確保?
その答えは、
「キャスト・アウェイ」2000年公開 監督 ロバート・ゼメキス
にありました。
主演のトム・ハンクス扮するFedex(フェデックス)勤務の主人公が飛行機事故に遭い、たった一人、奇跡的に無人島に流れ着きます。
しかも異常に波が高くこの島からは抜け出せないという状況。
墜落した飛行機の荷物を開封しながら、孤独な無人島でのサバイバルが始まります。
この状況で一番の優先は水とか食料と考えてしまいがちですが。
答えは、衣服。
特に映画では靴が重要とのこと。
どういう状態で流れつくか、流れ着いた島の気候、にもよるのでしょうが、もし裸足だった場合は、そこから考えなければなりません。
水にしろ食糧にしろ、確保するには無人島内を散策しながら移動しなければなりません。奥地に入っていく中で、足を怪我したり傷を作ってしまい、細菌などが入ってしまうと、当然に医療設備のない場所では、破傷風になったりして、すぐにダウンしてしまいます。また服は、直射日光を防いだり、暖をとったり、虫に刺されるのを防いだりもします。
歩けなくなったらおしまい、ということですね。
た、確かに。
どう考えても水だろうよ、とワセリンは思っていましたが、水を探しに行く前に、傷を負わない、怪我をしない対策を考えよ、というですな。これにはさすがに納得せざるを得ない。
実はこれ、日常生活の中でも、その片鱗はあります。
例えば海。
僕は海で泳ぐなんてリスキーな真似はしませんが、砂浜で佇む、くらいのことはします。
ビーチサンダルで岩場とか砂浜まで行って、泳ぐ人は、海の直前では脱いで、少し移動してから海に入りますよね?
場所にもよりますが、ビーチサンダルを脱いでからのこの僅かな距離、波打ち際って、色んなものがあります。貝殻とか、プラスチックとか、ガラスとか。
ビーサンないと、痛い。マジで痛い。油断してると、何かが足の裏に刺さったりします。
ふだんなら、気にもしないでしょうが、これが無人島では最悪の事態を招きかねません。
次に山。
山は登って、そして下るもので、全ては足にかかっています。当然、一番問題になるのが捻挫。足首、グキってやっちゃうやつです。小学生のときの遠足には登山が付き物で、どうしてか、一人くらいは捻挫するものです。一人が怪我をするだけで、全体の進度が急に遅れ、酷い捻挫だと、歩けなくなってしまい、先生が担いで下山、みたいなこともあります。足以外の場所を怪我しても、歩けるのでそれほど問題にはなりませんが、足をやってしまうと、そいつはもう、ただのお荷物です。マジで迷惑です。
もちろん、そうやって集団での行動や、人間社会の構図を学び、時にはロマンスとかも生まれるワケなので、義務教育では行われて当然の行事なのですが、それは安全が確保された状態での話です。
これが都内だったら、足を怪我したところで、タクシー呼んで「病院まで」で終わってしまう話なので、そこに危機感なんて一切ありません。海とか山とか、自然に近い場所であっても、その周囲には文明社会が広がっており、怪我一つでどうにかなることなんてありません。数時間頑張れば、何とかなってしまう。例え動けなくなっても、誰かが助けてくれるワケです。
しかし人間社会も文明社会もない無人島では、足を怪我する、ということは致命傷に等しい、ということなのです。
では、衣服の次に用意しなければならないものは?
次に重要なのは、水。
水、きたーーー!(なんの歓喜だ)
無人島サバイバルの教本では、やはりこれが一番に出てくることが多いです。映画では、雨水を蓄えたり・・・ココナッツで喉を潤したり・・・喉が乾くと本当になにもできなくなるのだとか。
人間は、お腹が空いていても動けるが、水分がないと動けなくなる、ということですね。ここの優先順位は覚えておきましょう。
色々調べてみたのですが、水も食料もなしで人間が生きていられるのは、2週間程度、らしいです。けっこう生きられるものですね。しかしそれは生きていられる期間であって、動けなくなるまではきっともっと短く、一人で生きていくためには、三日か四日のうちには、水と食料を確保できるようにしないと、死が待っている、ような気がします。
次が食糧、なのですが、ここでは火が先です。
生でも確実に食べられるとわかっている果物などがあれば別ですが、確実でない場合は、すべて火を通して口に入れることを考えなければなりません。
無人島生活に入った場合、特に日本人はけっこう弱そうだな、と思ってしまうのは、生活習慣の違いのためです。
水もそうなのですが、我が日本国では、水道水が飲めますし、動物の肉を生(なま)でも食べますよね?特に魚。
外国では、この習慣はありません。
水道水が飲めるなんて誰も思っていませんし、動物の肉を生で食べるなんて、宗教以前の問題です。理由は一つしかありません。お腹を壊す、何かに感染する、危険があるからです。
この日本人の衛生的に恵まれすぎている生活基盤が、無人島では裏目に出る気がしてならないのです。
そもそも水や生肉が危険、という認識がほとんどないので(最近はそうでもありませんが)、これ行けるんじゃね?くらいの軽いノリで、口に入れてしまうのではないかと。怖すぎる。
僕は海外けっこう行く方ですが、実体験として、そのへんの露店で何か食べるとかは、まずやらなくなりました(美味しいんですよ、美味しいんですけども!)。例え日本系のレストランでも、上海のレストランの生っぽいものは食べても、広州のレストランで生っぽいものは絶対食べません。調理に使われている水が恐ろしいからです。日本でも牡蠣は食べません(そういう引きだけは無駄に強いので)。
そもそも、全世界で、水道水が飲める、WHO(世界保健機構)のガイドラインに沿えている国家は10か国ほどしかなく、それらの国ですら、国民はペットボトルのミネラルウォーターを買っています。如何に、日本の浄水技術が優れているか、インフラ設備が完璧か、基盤となっている土壌が豊かか、という話なのです。
現実的にペットボトルのミネラルウォーターを必須としない国は、日本、アイスランド、オーストリア、くらいのようです。現在は日本ですら、みんな飲料水としては、けっこうペットボトルを買っている中で、です。
火が通っていても、食べ物自体が合っていない、異国の人には耐性がない、ということも当然ありますが、やはり、ダメージが大きいのは水と生もの。二日、三日は持っていかれます。お腹壊すのもそうですが、訳の分からない蕁麻疹(じんましん)が出たり、熱が出たり、ホテルから一歩も出られなくなる、ということを何度も経験しました。
そうです、無人島では、動けなくなったら終わり、なんです。
二日も無人島で動けなくなったら、と思うとゾッとしますね。。。
ですので、食料は当然確保しなければならないのですが、それには火を通すことを考えましょう。
火を起こす・・・これだけのことが無人島ではかなーり難度高いです。トムハンクスは一番原始的な方法、木の板と枝の摩擦力で火を起こしていましたが、これ、男性じゃないと無理じゃないかな・・・・・・どう頑張っても無理な場合は仕方ないです、そのときは覚悟を決めて、動けなくなることも想定しつつ、生でも植物系から行きましょう。この優先順位が大切です。
無人島での生活、サバイバル、となると生きるための要素、を考えてしまいがちですが、
カラダが資本
ということですね。
そして時間が経つと、人間は孤独に耐え切れなくなってきます。友達が必要になるのです。
その対処法は、
映画『キャスト・アウェイ』を観て孤独に耐えるメンタル術を学ぶ
こちらを参照どうぞ。
ちなみに。
映画の中でトムハンクスは虫歯に悩まされますが無人島では抜くしかないようです・・・・・・自力で・・・・・・虫歯を・・・・・・うぐっ(倒れた)
この映画のいいところはですね、生還したことで全てがハッピーエンドで終わるのではなく、その後の物悲しさ、みたいなものが描かれているんですよ。同時にたぶん希望も(ラストはすごい曖昧にされたので解釈が難しい)。主人公がFedexの配達員、ということにもちゃんと意味があります。
原題が『Cast away』ですが、これって直訳すると、『切り捨てる』『捨てられた』って意味です。単純に『漂流』なら『Drifting』になるはずですから。「トムハンクス以外の”キャスト”を切り捨てた映画(笑)」みたいなところがアメリカン・ブラックジョークかよ!とも思う訳ですが、少なくとも、描きたかったのは、無人島でのサバイバル生活そのものじゃないですよね。
無人島でも文明社会でも、結局のところ人間は孤独で、
自分自身で考えて、決めて、生きていくしかないんよ。
いつだってサバイバルは続いているんよ。
的な余韻を残しながら終わっていくところがかなーり秀逸でした。
サバイバルポイント
無人島での優先順位
①衣服(特に靴)②水③火④食糧⑤友達