音楽には、感情・知覚・認知の活性化といった効果があるとされています。これらの効果は、音楽が自律神経系に作用することでもたらされるのだそう。根拠はともかく、経験上、音楽が私たちをときに励まし、ときに寄り添ってくれることを知っている人は多いでしょう。
というわけで、今回は私たちの心を支えてくれる「音楽」を描いたバンド漫画3選です。
バンド漫画ランキング1「スウィンギングドラゴンアンドタイガーブギ」
著者:灰田高鴻
掲載誌:モーニング
出版社:講談社(単行本3巻まで発売中)
あらすじ「スウィンギングドラゴンアンドタイガーブギ」
福井からウッドベースと共に上京した少女・諏訪於菟(すわ おと)。彼女は姉のために「オダジマタツジ」という男を探しており、ベースはその手がかりでした。路上で歌う於菟の才能に目を付けたのは、ジャズバンドのバンドマスター・丸山。於菟は丸山に誘われ、ジャズの世界に身を投じてゆくことになります。そして、それは於菟と「オダジマタツジ」との出会いでもありました。
戦後日本の芸能界のルーツを描く、一大ニッポンジャズストーリー。
おすすめポイント「スウィンギングドラゴンアンドタイガーブギ」
戦後、日本が蘇るにあたり、音楽はその大きな力となりました。この作品でも、音楽に魅了され熱狂する人々とそれゆえに起こる衝突や事件が描かれ、その力の大きさを感じることができます。特に「♪だう゛ぁでぃだだう゛ぁでぃだだう゛ぁでぃだだう゛ぁでぃっでぃっでぃっ!!」と歌うライヴは気持ちの良いシーン。
SpotifyとApple Musicにて作中に登場する曲のプレイリストが公開されているので、合わせて聴く楽しみもあります。
バンド漫画ランキング2「空電の姫君」
著者:冬目景
掲載誌:イブニング
出版社:講談社(単行本2巻まで発売中)
あらすじ「空電の姫君」
女子高生・保坂磨音(ほさか まお)はギタリスト。その才能は、解散した人気バンドの元メンバーで現役ミュージシャンの父親譲り。バンド「アルタゴ」に参加することになった磨音と、磨音のクラスへ転入して来た美人でミステリアスな歌姫・支倉夜祈子(はせくら よきこ)の青春を描いています。
おすすめポイント「空電の姫君」
女の子が制服でギター。はい、かわいい。おすすめがそんな理由でも、いいじゃないの。でもそれだけではなくて、人が出会って集まって形になっていくドラマ。形になっていく過程で見え隠れするそれぞれの心情のドラマ。そういった音楽が生まれる背景にあるドラマが魅力的な作品です。
とはいえ、謎めいた黒髪美少女が転校生なわけですよ。はい、最の高。結局、そんな理由でおすすめしてもいいじゃないの。
バンド漫画ランキング3「デトロイトメタルシティ」
著者:若杉公徳
掲載誌:ヤングアニマル
出版社:白泉社(単行本全10巻)
あらすじ「デトロイトメタルシティ」
主人公・根岸崇一はスウェディッシュポップを好む、温和しく優しい青年。自身でもオシャレ系ポップスの作詞作曲演奏をしていますが、なかなか世間には認められません。しかし、彼にはもうひとつの顔が。それは、悪魔系デスメタルバンド「デトロイトメタルシティ」のボーカル兼ギタリスト、ヨハネ・クラウザーII世としての顔です。
音楽的にも性格的にも、自分とは真逆なヨハネ・クラウザーII世を演じる崇一は偶然や勘違いから発生した過激な行為や伝説により崇拝を集め、本人の思いとはうらはらに悪魔的カリスマとなっていくのでした。
おすすめポイント「デトロイトメタルシティ」
「ギターの人がベースの人を殴って解散した」──バンドあるあるのそんなエピソードがなぜか愛おしいのは、モラトリアムゆえでしょうか。理想に敗れながら望まぬ方へと進む主人公・崇一の姿は、滑稽で、また愛おしいものです。
理想と現実の差は常に若者を苦しめます。本当の自分はこんなではないと、あせり、もがき、あがくものです。崇一も、クラウザーさんとしての自分を嫌悪さえしているですが、音楽そのものを諦めてはおらず、彼なりに行動しています。そして行動した事実は地肉となり、その人を作っていくでしょう。
シスター渡辺和子の「置かれた場所で咲きなさい」という言葉があります。理想の場所が遠いと感じる時こそ、いっちょクラウザーさんばりに咲いてみようじゃないかという元気が出てくるギャグ漫画です。
サバイバルポイント
あれ?俺の「To-y」ドコー?となったみなさま。殿堂入りということでご理解ください。
殿堂入りバンド漫画:To-y
著者:上條淳士
掲載誌:週刊少年サンデー
出版社:小学館(単行本全10巻)