肩にちっちゃいジープ乗っけてるマッシブマッチョでも、鍛えられない弱点があります。
それは、「心」です。
なにしろ実体が無いのですから。
ということは、心や精神の領域に持ち込めば、どんな猛者にも勝てるチャンスがあるということ!
てなわけで今回は、推理力や洞察力が身に付き、心を見通す心理戦に強くなれる漫画を3つ選んでみました。
背中ならぬ心に鬼人を宿そうではないか!
『無能なナナ』
原作:るーすぼーい
作画:古屋庵
掲載誌:月刊少年ガンガン
出版社:スクウェア・エニックス
単行本7巻まで発売中
『無能なナナ』あらすじ
孤島の学園に集められた少年少女たち。
彼らは特殊な異能を持った「能力者」で、人類の敵である怪物との戦いに備えて訓練を受けていました。
ある日、柊ナナが転校してきます。
ナナの能力は、読心術・・・と見せかけて実は無能力者。
さらに、能力者を暗殺する命を受けて学園に送り込まれた刺客でもあったのでした。
『無能なナナ』おすすめポイント
学園に集められた「能力者」に対して、ナナは無能力者。
ですが、読心能力者であると偽れるほどの観察力・洞察力・推理力を持っています。
しかも、能力者たちは次々に無能力者のナナに陥れられていきます。
洞察したり推理したりする力は、時間や毒を操るような特殊能力をも凌駕する力になり得るのです。
生き残るために、洞察力や推理力がいかに大切であるかが分かる漫画です。
『エンバンメイズ』
著者:田中一行
掲載誌:good!アフタヌーン→マンガボックス
出版社:講談社
単行本全6巻
『エンバンメイズ』あらすじ
主人公・烏丸徨は、地下のダーツ賭博で活躍するダーツプレイヤー。
天才的なテクニックと、相手の行動を読んでの巧妙な心理戦を得意としています。
烏丸は、ダーツプレイヤーを養成する謎の「施設」出身。
ある出来事をきっかけに、距離を置いていたはずの「施設」の謎を突き止めようとダーツの試合に挑むようになり、個性的な対戦相手たちと駆け引きを展開していきます。
『エンバンメイズ』おすすめポイント
主人公・烏丸は、相手のささいな行動、しぐさ、表情の変化を見逃さず、その心中にあるものを読み解きます。
そして、相手が自ら袋小路に入り込むように仕向けるのです。
心を読まれるのは、行動を操られるのと同じ。
行動の真の目的、しぐさに隠された潜在意識、表情の変化をもたらした感情を把握することで、相手の欲求、あるいは失いたくないものが分かります。
その欲求に向かう相手の心理を利用し、行動を操るのです。
これは何も、敵対する相手に限ったことではありません。
むしろ日常的には、セールスや恋愛など、友好的な関係を結びたいときにこそ、相手の行動を観察し、心理を知ることの重要性を感じることが多いでしょう。
『VANILLA FICTION』
著者:大須賀めぐみ
掲載誌:ゲッサン
出版社:小学館
単行本全8巻
『VANILLA FICTION』あらすじ
主人公・佐藤忍はバッドエンドしか書けないネガティブ思考の小説家。
スランプに陥った彼が落とし物を届けようと入ったビルで見たのは、男同士の決闘と、ボロボロの少女。
ネガティブ思考で相手のバッドエンドを予想し、その通りに行動した佐藤はピンチを脱しますが、なぜか少女・エリの保護者となることに。
佐藤は、案内人として現れた不死者・太宰の説明により、「羽白島の北端の岬でエリとクッキーを食べること」をしないと世界が滅びるという「神が仕組んだ双六ゲーム」に巻き込まれてしまったことを知ります。
自分で書いた小説の内容と酷似した現実に驚きを隠せない佐藤でしたが、やがてエリと太宰を大切に思い、彼らのハッピーエンドを願うようになるのでした。
『VANILLA FICTION』おすすめポイント
バッドエンドしか思い付かない才能を生かして相手が窮地に陥る可能性を推理し、想像した窮地に相手が向かうように仕向けるのが、主人公・佐藤の能力。
佐藤はネガティブ思考であることを好んではいませんでしたが、実は佐藤が日本人である限り、ネガティブ思考であることは仕方がないことなのかもしれません。
「セロトニン」という感情をコントロールする脳内伝達物質があります。
このセロトニンの伝達に関する遺伝情報を持つのがセロトニン・トランスポーター遺伝子で、ざっくり分けると「楽観視しやすいL型」「不安視しやすいS型」があります。
日本人の、特に成人男性はS型のセロトニン・トランスポーター遺伝子を多く持っているようなので、佐藤のネガティブ思考はしょうがないわけです。
ですが、悪いことばかりではありません。
むしろ慎重であるぶん、危機管理や推理に優れているとも考えられます。
実際、佐藤もそういうふうに自らのネガティブ思考を有効活用していました。
このように、自分の心理的特徴を生かしたサバイバルもあるのです。
サバイバルポイント
心の筋トレがあるとするなら、それは以前『憂国のラスプーチン』を紹介した際に登場した「マインドフルネス」だそうで。
ぜひ、あわせてどうぞ!