智に働けば角が立つ。
情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。
有名な夏目漱石『草枕』の冒頭ですね。
そう、生きにくいんですよ、人の世。
でも、生きていきたいじゃないですか、人の世。
何だかしんどい時、漫画が「生きてく力」をくれることもあるのです。
今回は、生きていくパワーをもらえる漫画を3つご紹介します。
どっこい、生きていこうじゃないですか!
『黒鉄の太陽』
著者:白川雷電
掲載:となりのヤングジャンプ
出版社:集英社
単行本全2巻
『黒鉄の太陽』あらすじ
ある朝、目覚めた神川リンは家ごと地底に落ちてしまいます。
地底の崖で出会ったのは、大きな「太陽」の力を持つ風変わりな男・黒鉄。
いなくなった家族を探すため、知識と引き替えに黒鉄に協力を求めたリンでしたが、いきなり絶望するような事実に直面することに。
そんなリンを励まそうと、黒鉄は結婚を申し込みます。
地底文明フロンティアファンタジー。
『黒鉄の太陽』おすすめポイント
まず、主人公2人の生きていくエネルギーを感じます。
絶望が襲うたび、それを上回る闘志で立ち上がります。
敵も味方もエネルギッシュです。
誰もが猛烈に「生きていきたい」と願い、戦っています。
ガラクタでめちゃくちゃに構成されている町並みにも、何とか生きてやるという、この世界の住人のエネルギーが表れています。
そして、作品全体に溢れるエネルギーがとにかくすごい・・・
荒削りで、激しくて、暑苦しい物語を通して伝えたいことがある──そういうエネルギーです。
存在そのものが生きていく励みになるような、そんな作品が『黒鉄の太陽』なんです。
『不滅のあなたへ』
著者:大今良時
掲載誌:週刊少年マガジン
出版社:講談社
単行本全13巻
『不滅のあなたへ』あらすじ
地上へ落とされた「球」。
「球」はやがて少年と出会い、その姿を得ます。
少年の姿となって、フシと名乗ることとなった「球」は、多くの出会いを通じて様々な人物・動物の姿と記憶を「獲得」しながら、不死身の肉体で永い時を生きていきます。
自分を獲得していく物語。
『不滅のあなたへ』おすすめポイント
フシは不死身で、まさに不滅の存在。
出会う人々とは、彼らの死をもって、必ず別れる運命にあります。
超越者であるフシにとって、周囲の人物は、いずれ居なくなることが分かっている存在。
ですが、それでもフシは何事かあれば全力で彼らを守ろうとします。
そして、彼らと別れた後も、ともに過ごしたことを覚え続けています。
フシは彼らを知ってしまっていて、そして彼らを愛しているからです。
あなたのことを知っている誰かも、きっとフシと同じはず。
あなたを知ってしまった以上、あなたを放っておくことも、忘却することもありませんし、できません。
あなたもまた、放っておくことも、忘却することもできない相手がいるでしょう。
フシの視点に立つと、どんな人にも、お互いにそういう存在がいることに気付かされます。
『蝋燭姫』
著者:鈴木健也
掲載誌:Fellows!
出版社:エンターブレイン
単行本全2巻
『蝋燭姫』あらすじ
王宮に育ったお姫様の中のお姫様、スクワ姫。
粗野な育ちの女騎士・フルゥは、スクワ姫をひと目見るなり、そのカリスマに魅入られます。
王位継承争いの末、スクワ姫は修道院へ送られることに。
姫を護衛することになったフルゥは、何とかスクワ姫を玉座へ戻そうともがくのですが・・・
『蝋燭姫』おすすめポイント
王族として生きてきたスクワ姫は、死を恐れていませんでした。
しかし、それは真に覚悟していたからというよりは、本当の自分の人生を生きていなかったからではないでしょうか。
自分の人生の意味を知った後、スクワ姫は死を恐れ、泣きじゃくります。
しかし、最終的にはフルゥと生きるための行動に出るのです。
生きる意味や、「自分自身を生きるとはどういうことか?」を考えさせられる作品です。
サバイバルポイント
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