位置、距離、規模。
自分がどんな場所にいるのかを把握する助けになるのが、これらの情報。
サバイバルするために重要な情報と言えます。
では、これらを知るために必要な計測を、道具もない状態で、周囲に気が付かれないようにこっそりするとしたら?
今回は、その方法を学んでいきましょう。
テキストは漫画『アルキメデスの大戦』
『アルキメデスの大戦』は三田紀房作の漫画で、「週刊ヤングマガジン」で2015年から連載中。
実写映画化もされていますが、どうしても「帝一の國」がちらつくのは、たぶん中の人のせい。
ええい、気にするな!
中の人などいない!!
さて、主人公・帝一・・・ではなくて、櫂 直(かい ただし)は東京帝国大学数学科の学生でしたが、事情により退学。
かの山本五十六に料亭でスカウトされて、アメリカ留学を取りやめ海軍へ入省。
巨大戦艦「大和」建造計画を阻止するべく、その天才的な数学能力と戦略性を発揮していくことになります。
ちなみに、戦艦「大和」がどれくらいでかかったかと言うと・・・
排水量7万2000t!(アメリカ最大のアイオワ級戦艦は4万5000t)。
主砲口径46cm45口径!(アメリカ最大のアイオワ級戦艦は40cm50口径)。
でっかいだけに費用も莫大で、金剛型戦艦や空母のための費用もごにょごにょ・・・して建造。
排水量とか主砲とか興味ないって人に分かりやすく言うと、「艦これ」でも(いろいろ)おっきいよね!ばいんばいんだよね!大食いだよね!
そんな大和さんを作らせまいと、やたら数学が得意でモテる帝一ライクな主人公・櫂が頑張るお話です。
「歩幅で測量するのが歩測」by 伊能忠敬
参考にするのは、第一巻収録の第八話「対峙」で、戦艦「長門」を計測するシーンです。
長門は、太平洋戦争開戦時の連合艦隊旗艦。
世界初の41cm砲を搭載した、これまた巨大戦艦です。
「艦これ」で説明すると、アイスクリームに目を輝かすあの「ながもん」です。
櫂の使命は、巨大戦艦「大和」の建造計画を阻止するために、莫大な建造費用のごにょごにょを数学の能力によって暴くこと。
正確な建造費の算出には、造船の専門知識、構造の計算、経済学の見識が必要。
ですが、彼は数学の天才ではあっても、戦艦については素人です。
そのうえ、当然ですが、予算をごにょごにょしている計画推進派はデータの隠蔽を図ります。
そこで、櫂は実際の戦艦を「知る」ために横須賀軍港へ。
副官の田中少尉とともに「長門」に乗船し、五感を使って戦艦というものの情報を収集しようとします。
「長門」のあらゆる箇所を、巻き尺を使って計測する櫂。
鎖の長さ、ボルトの数、あらゆる数字をコツコツと集めていきます。
こうして集めたデータで、ごにょごにょを暴くのだ!
田中少尉には、艦内を歩き回って「歩数を数える」ように指示します。
「一歩50cm」と考えて計算することで、おおよその距離や大きさを知ることができるというわけです。
このように歩幅で測量することを「歩測」と言います。
「歩測」で有名なのは伊能忠敬でしょう。
江戸時代に「大日本沿海輿地全図」を作成した人物ですが、測量には歩測を多く用いたそうです。
歩測のメリットは、この3つでしょう。
・特別な道具がいらない
・そのわりに正確
・気付かれずにこっそり計測できる
歩測で計測することによって、自分がいる場所の大きさ、移動距離をおおよそ知ることができます。
脱出や、地形の把握などの役にも立ちそうです。
実際に、登山などではよく使われますしね。
初心者向け!歩測の正しいやり方
歩測の具体的な方法について、説明しましょう。
まずは、自分の一歩を知っておくことが必要です。
『アルキメデスの大戦』作中では、何歩歩いたかを数え、一歩を50cmとして「50cm ✕ 歩数」で距離を割り出していました。
ちなみに、伊能忠敬は一歩をおよそ70cmとして計測していたそうです。
自分の歩幅を知る手順はこう。
(1)10mや20mの直線上を何度か歩き、平均何歩で歩けるか算出。
(2)歩いた直線の長さを平均歩数で割る。
これで、自分の一歩が何cmか分かります。
短い距離なら、この方法で測ることができるでしょう。
もっと本格的に歩測をするためには「復歩」を使います。
「復歩」とは、右一歩・左一歩を一組として「一歩」とするもの。
通常、大人の復歩は100mで平均60歩です。
これを少し矯正して、常に100mを66歩で歩けるように訓練しておきます。
これは、1復歩1.5mで歩く計算です。
なぜ、そのように訓練するのかと言うと、計算しやすくするためです。
100mを復歩数66歩で歩くと、次の公式が成立します。
66(100mの復歩数) + 33(復歩数の半分) = 99 ≒ 100(歩いた距離)
つまり、「復歩数+1/2復歩数=歩いた距離」という公式を使えるようにするための訓練なのです。
たとえば・・・
訓練した歩幅(1復歩1.5m)で、「復歩数50歩」を歩いたとします。
この場合、上の公式に当てはめると「50+25=75」となり、歩いた距離は約75mであることが分かるのです。
まとめ
歩測という計測手段は道具がいりません。
そして、日頃から自分の歩幅をちょっと意識しておくことで、もしもに備えることができるという比較的お手軽な手段です。
駅まで歩くそのついでに、ちょっと「歩測」を試してみたくなってきませんか?
「歩測」で距離という知を得て、レッツサバイバル!
歩いて、知って、生き延びろ!
サバイバルポイント
アリは自分が歩いた歩数を覚えていて、その歩数を頼りに帰巣してるらしいです。
「今日は9,473歩、歩いて疲れたなぁ・・・」
「ちょっと休憩したら、また9,473歩、歩いて家に帰るか」
なんなの、その能力。。