通勤・通学にバックパックを利用する人が増えています。
両手の空くバックパックはたしかに便利。
ですが、気が付くと結構な重量になっていることもしばしば。
そこで、ちょっとでもバックパックを軽やかに背負うために、重心のコツを学ぼうではありませんか。
テキストは信濃川日出雄作の漫画『山と食欲と私』
『山と食欲と私』は、ウェブコミック「くらげバンチ」にて連載中の漫画。
単独登山と、山で調理して食べる「山ごはん」を楽しむOL・日々野鮎美が主人公。
毎回の見どころである「山ごはん」のシーンはなかなかの飯テロです。
ところで、どうして山で食べるものってあんなに美味しいんでしょうね。
ミシュラン最高の☆はあらゆる山頂につけたい。
さて、バックパックのコツですが。
鮎美が歩荷(ぼっか)さんの転倒事故現場に遭遇することからはじまる第77話「プライドのりんごソテー」にそのヒントがあります。
歩荷(ぼっか)こそ荷物を背負うエキスパート!
はじめに、歩荷(ぼっか)とは何かを説明しておきましょう。
山の上への物資の運搬と言うと、ヘリコプターが思い浮かぶかもしれません。
あるいは、トラックで運べる場所もあるでしょう。
しかし、費用面や交通の都合、自然保護の観点などから、そういった手段での物資運搬が不可能な場所もあります。
そこで活躍するのが、人力で物資運搬をする「歩荷」という仕事です。
山小屋へ食料や日用品を荷揚げするほか、ゴミを麓へと下ろしたりもします。
歩荷さんは背中に背負子を背負い、物資を運びます。
自分の身長ほどもある荷物を背負う歩荷さんも見られます。
その荷物の重量は平均70kg~80kg。
時には100kgを超えることも・・・
そんな重い荷物を背負って、山道を往復するのが歩荷なのです。
荷物を背負うことにかけては、彼らの右に出る者はいないと言えるでしょう。
歩荷のテクニックには、バックパックの最強ライフハックがあるはずです。
最大のコツは重心を安定させること!
作中で鮎美が出会ったのは、歴一年の新人歩荷・蝗太志。
大学を休学して山小屋でアルバイト中の19歳です。
作中では彼の仕事ぶりを描きつつ、歩荷のコツがまとめられています。
・重心を安定させることが大切。
・姿勢はやや前傾、肩車の要領で重いものをあえて上のほうにくくる(作中では、下から三段目と四段目のダンボール二箱が重いもの)。
・こうすることで重心をやや前方へ据えられて、重さを推進力へ変えることができる。
・重心が左右にブレないように腕を胸の中央で組み、腕は振らない。
・そうしたうえで、足の置き場を選んでひたひたと歩く。
これがバックパックのエキスパート・歩荷のコツです。
何より重要なのは重心!
肩の位置に重心がくるように背負うのが、負担なく重いものを背負うコツです。
重心がこの位置にあると、荷物が背中に密着しやすくなります。
しかし、重い物を下部にすると荷物の揺れが大きくなり、重量が後ろへ引っ張られる力になってしまい、重さを感じる原因に。
後ろへ引っ張られる力を発生させないようにするには、重いものをバックパックの上部、そして背中に近いほうへパッキングすると理想的です。
バックパックのベルトも工夫ができます。
肩紐を短くすることで、荷物の揺れを減らせます。
胸で留めるチェストベルトを使うのも有効。
より背中に荷物が密着し、重心がブレにくくなります。
チェストベルトの付属していないバックパックでも、別パーツのチェストベルトがありますし、肩紐の調節部分を胸の前で結ぶことで応急対策になります。
腕組みも効果大。
電車の揺れがきついときに腕組みをしてみると、身体が安定しやすくなります。
まとめ
・バックパックに荷物を入れるときは、重いものを背中側の上部にする
・肩紐は短めにする
・チェストベルトを使う
・腕組みをしてみる
これで、バックパックでの通勤・通学、または遠足がちょっと楽になるはず。
太志の転倒の原因は、くしゃみによるバランスの乱れでした。
それほどまでに全身の筋肉を使った繊細なコントロールが要求されるのが、歩荷という仕事なわけです。
我々も、バックパックで重いものを背負っているとき、歩荷さんほどではないにせよ、それなりに全身のあれこれを駆使しています。
だからこそ、バックパックを上手に背負うことは重要。
そうすることで、知らずにかかっていた全身の負担を軽減できるはずです。
歩荷さんの知恵を借り、バックパックを上手に背負って通勤・通学でレッツサバイバル!
サバイバルポイント
ところで。
山小屋でカレーが食べられるのも歩荷さんのおかげなわけですが、山道で彼らに会っても挨拶は控えましょう。
呼吸が乱れる原因になったり、バランスを崩す原因になったりして、思わぬ事故につながりかねません。
道を空け、静かに見送るのがいちばんの協力です。