もはや、生活必需品となっているスマートフォン。
連絡先も、天気も、地図も、終電も、なんなら支払いも、なんでもスマホでできちゃう。
そんな便利なスマートフォンですが、今回は「案外こんな使い方もあるよ」というお話をしたいと思います。
テキストは、松橋犬輔作『神様、キサマを殺したい。』
テキストにする漫画は、松橋犬輔作『神様、キサマを殺したい。』
タイトルどおり、ぶっそうなお話ですよ。
2013年の「月刊ジャンプ改」10月号~同誌休刊まで連載し、その後「少年ジャンプ+」へお引っ越し。ところが、作者の病気療養のため休載、2019年7月現在、未完の状態です。
お身体、大切にして欲しいけど、続きが読みたいジレンマ。本当にお大事になさっていただき、良い形で復帰していただきたいものです。
ヒロイン&殺人鬼 vs 警察
あらすじは、殺しがきっかけのボーイミーツガール。
絶望のヒロイン・咲村千穂が廃ビルで命を絶とうとするところから始まります。
屋上に立って飛び降りようとする彼女が目にしたのは、殺人。
謎の少年・笛田マコトが、まったく悪びれず殺人を犯す現場でした。
「ちほちゃん」こと咲村千穂の視線に気がついた「マコちん」こと笛田マコトは、一目散、階段を駆け上がり屋上へちほちゃんを殺しにやってきます。
しかしそこで、ちほちゃんの身の上話を聞いて、考えを変えるマコちん。
マコちんは「養殖場」と呼ぶこの廃ビルに人をおびき寄せ、飼い慣らし、殺人を繰り返してきていました。
理由は「楽しいから」。
しかし、すでに成功が当たり前になっているので新しい発見はなく、近頃つまらないのがマコちんの悩み。
そこでマコちんは、さらなる成長のためには難しいことが必要だと考え、ちほちゃんのための仇討ちを提案します(満面の笑みで)。
仇討ちの後には、ちほちゃんを殺すとも(満面の笑みで)。
「何かをがんばって、前進することが人間の生きる意味だろ?」と爽やかに語るマコちんに、
殺人鬼が何を言ってるのかとあきれながらも、ちほちゃんは彼に仇討ちを依頼し、彼に殺されることを誓うのでした。
こうして、あやういながらも、二人の間にはそれなりの信頼関係のようなものができていきます。
が。ががが。
ちょいちょい露呈するマコちんのサイコパスが本当にあやうい!あやうすぎる!
あやうすぎる殺人鬼・マコちんの仇討ちですから、当然それは殺人になりますし、殺人となれば動くところも動き出します。
そう、警察です。
ガスマスク姿がステキな、東大法学部卒の警部補・日裏博彰が、二人の前に立ちはだかることになるのです。
彼はガスマスク&手袋をつけて生活するほどの潔癖症ゆえ、あらゆる汚物を嫌悪しています。
そして、犯罪者も社会の汚物として嫌悪し、その殲滅こそが彼の目的。
マコちん&ちほちゃんが殺人事件に関与しているとにらんだ日裏は、部下にちほちゃんを見張らせます。
それでも何とかマコちんに逢おうと、廃ビルへ向かうちほちゃん。
しかし、廃ビルの屋上にマコちんの姿はなく、ちほちゃんは絶望し、崩れ落ちます。
その目の先に、風に揺れるマコちんからの置き手紙が・・・
尾行していた部下の男は、崩れ落ちたちほちゃんが屋上から飛び降りるのではないかと慌てますが、
やがてちほちゃんの手の中の手紙に気がつきます。
そして、それがおそらくはマコちんからの通信文であることにも。
ですが、遠くて手紙の内容までは見えません。
ここまでを日裏と通信している間に、部下の男はちほちゃんと目が合ってしまいます。
ちほちゃんは、あらかじめマコちんが証拠隠滅用にと用意してあったライターで手紙に火をつけ、灰にしてしまいました。
「出せなかったラブレターを燃やした」と、状況とほぼ完璧にマッチした言い訳を残し、その場を立ち去るちほちゃん。
実はマコちんの手紙には、次の仇討ちターゲットと決行日がばっちり書いてあったのですが、その秘密は守られたのでした。
いや、守られたかのように思えたのでした。
手紙の文字は、どのくらいの距離から読めるのか?
というのも。
ビル上空には、神奈川県警のヘリコプターが。
そしてそこには、ごっついレンズのついたカメラを構える県警の人間と、日裏の姿が!
あれ、ここ日裏、こんなに身を乗り出さなくてよくね?と思ったり思わなかったり、あれなんですが。
次のページで。
デジタルカメラにつないだノートパソコンの画面上でマコちんの手紙の内容を確認し、余裕の表情を浮かべる日裏。
日裏はデジタルカメラの望遠機能&拡大機能を利用して、はるか遠く離れた上空から、マコちんの手紙を読むことに成功したのでした。
ちほちゃんが手紙を読んでいる間、ヘリコプターの音はしていません。
ちほちゃんが立ち去った後、機体の影が落ち、遠くに「パタタタタ・・・」とプロペラ音が聞こえ、日裏の部下はやっとヘリコプターに気がつきます。
つまり、ヘリコプターの高度はそれなりであり、カメラのレンズはその距離からでも、ちほちゃんが手にしていたマコちんの手紙の文字をとらえていたことになります。
一般的な航空機と異なり、低空飛行を得意とするヘリコプターの場合、被写体にかなり近づくことも可能といえば可能です。
ですが、航空法施行規則第174条により、ヘリコプターの最低安全高度は次のように定められています。
■航空法施行規則 第174条
航空法に基づくヘリコプターの最低安全高度は
イ)人又は、家屋が密集している地域の上空
(ヘリコプターを中心として水平距離600m範囲内のもっとも高い障害物の上端から300mの高度)
ロ)人又は、家屋のない地域、及び広い水面の上空
(地上、又は水上の人、又は物件から150m以上の距離を保って飛行することができる高度)
ハ)イ、ロの地域以外の地域の上空
(地表面、又は水面から150m以上の高度)
ヘリコプターの音に気がつかなかったことから考えても、ヘリコプターはおそらく法定の最低安全高度を守っていたのではなかと思います。
すると、ヘリコプター内のカメラは、廃ビルが周辺600mの範囲でもっとも高い建物であったとして、300m離れた上空から屋上を撮影したことになります。
カメラには、大筒のレンズが。
たとえば、ヘリコプター→地上とは逆に、地上→上空を考えてみるとして。
高度150m~1000m以上を戦闘機が飛び回る「航空ショー」撮影に使用する超望遠レンズは焦点距離150-600mmクラスのものが多いようです。
作中のレンズもそのくらいなのかな?といった感じ。
さらに、いろいろと技術を駆使すると、焦点距離150-600mmのレンズを使用して、お月さまのクレーター撮影なんかもできちゃうらしい。
なので、お手紙なんかもヘリコプターから余裕なのかもしれないなと。
スマホカメラのこんな使い方やあんな使い方
さすがに、ヘリコプターから女子高生のお手紙を盗み読むようなことはなくても、ちょっと遠くの文字が見えないっていうときに、この方法、使えそうじゃないですか?
スマホのデジタルカメラ機能でちょいちょいと撮影して、すぐにその場で画像をピンチアウトすれば・・・
駅のホームの向こう側の広告の電話番号とか。
遠くの掲示板のポスターとか。
歩くのだるい距離にある地下鉄の出口表示とか。
遠くにあって見えにくいものを、大きくしてはっきりと見ることができるんです。
しかも、今どきはスマホカメラ用の望遠レンズもあるということで、そういったものを利用すれば、さらに遠くの細かいものも見えるかもしれません。
これを応用すると、トラブルがあったときに、立ち去る車のナンバーや、タクシーの車体番号を確認&記録できたりもします。
花や虫などを撮影し、拡大して細かい部分を観察することもできます。
趣味としてはもちろん、毒性のものの被害を受けた場合に、何の被害を受けたのかの特定するのに役立ちます。
たとえば、2019年発売の上位機種のスマートフォンのカメラ機能は、デジタルズーム50倍!
こういった高性能なもうひとつの「目」を携帯してるっていうのは、外付けの拡張機能があるサイボーグみたいな感じすらします。
まあ、そもそも記憶の半分くらいはスマートフォンに頼っていて、ネットワークへの接続もスマートフォンでほぼ常時可能で多くの知識をそこに依存していて、私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり、それらすべてが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し・・・と、某9課の少佐めいてきましたが。
まとめ
とにもかくにも、スマートフォンのデジタルカメラ機能ってすごい!便利!
すっかり感激されたことでしょう。
・・・ということは。
あなたのまわりにも、すごい!便利!だと思ってスマホカメラを使っている人がいるわけです。
そして、それは善人ばかりではありません。
デジタルカメラの望遠機能&拡大機能を利用して、あなたの個人情報をのぞいている人がいるかもしれません。
常時、上空からの盗撮におびえる必要があるかと言えば、それは、あなたの現在置かれている立場によるとしか言えないわけですが、カフェでノートパソコンを広げている間に、テーブルのコーヒーを撮影するふりをして背後からスマホで画面を盗撮&拡大して個人情報を吸い取られている・・・かもしれませんよ。
そこらへんは気をつけて、サバイバルしていきましょうね。
そして。
続きが!続きが読みたいんだよおおお。
サバイバルポイント
そのうちスマホのカメラで決定的瞬間を撮れるんじゃないかと思ってるけど、決定的瞬間はそう都合よく訪れるわけもなく。
で、決定的瞬間が訪れたときに限って、「あれ!?スマホどこだっけ?」ってなりがち。
急いでるときに限って、コンビニのレジが大行列みたいな。
それは違うか。。