サバイバルする重要な条件のひとつが、食糧であることは言うまでもありません。
そして、非常時の食糧として優秀なのが、保存性が高くコンパクトで安価な「乾物」です。
乾物がいかに優れているか、『グラップラー刃牙』の山籠もりを例として見てみましょう。
刃牙は山籠もりをするにあたって
納豆よしッ!
乾燥貝柱よしッ!
スキムミルクよしッ!
乾パンよしッ!
いりこよしッ!
アスコルビン酸よしッ!
わかもとよしッ!
と、食品を厳選してリュックに詰めていました。
いずれも効率よく栄養がとれて低重量なものばかり。
このうち、乾燥貝柱、乾パン、いりこが乾物です。
乾物の潜在能力、おそるべし!
乾燥させて保存性を高めた食品である乾物ですが、メリットは保存性だけではありません。
コンパクトで軽くなるので、パッキングするのに優れています。
コンパクトではありますが、水で戻せばかさは戻るので満腹感も十分。
そして、天日によってもたらされる成分変化により、栄養が増していることもメリットです。
たとえば、切り干し大根の場合、元の大根と比べるとそのエネルギーは約20倍にもなると言われています。
さらに、乾物になるまでは含まれていなかった栄養素が作られることも。
しいたけの場合のビタミンDが有名ですね。
ということで、乾物は非常に合理的でサバイバル向きの食品なのです。
ストイックなグラップラーであればこれで十分。
ですが・・・
現代を生きるスイーツな女子にだって、サバイバルの権利はあるはずです。
今回は、
お姫様向けの「プリンセス・サバイバル」を見てみましょう。
テキストは漫画『蝋燭姫』
参考とするプリンセスは、鈴木健也作の漫画『蝋燭姫』に登場するスクワ姫。
ちなみに『蝋燭姫』はエンターブレインの「Fellows!」に連載された漫画で、単行本は全2巻。
スクワ姫はお着替えするにも何人もの侍女があれしてこれしてというのが当たり前という、生粋のお姫様。
ところが、お城というのは、謀略や奸計もまた当たり前な環境だったりもします。
スクワ姫は王位をめぐる争いから、侍女であり女騎士であるフルゥとともに城を追われることに。
さらには、行き着いた先の修道院もまた安住の地ではありませんでした。
スクワ姫を城に戻したいフルゥ。
国を割ることを嫌い、それを拒むスクワ姫。
そんな二人がそれぞれの思いを胸に、荒れ地を旅することとなりました。
荒れ地を旅する二人の食料は粗末なものです。
スクワ姫の食べるパンも「ふんるぅ」と本気で引きちぎらなくてはならぬほど固く、そしてまずい。
スクワ姫は、その味に思わず顔をゆがめます。
修道院生活を経たとはいえ、スクワ姫は姫君。
基本、パンが無ければケーキを食べる人種です。
そんなスクワ姫を味覚の面から大いに励ましたのが、
ドライフルーツの「なつめやし」でした。
ゆがめた顔をそらしたスクワ姫にフルゥが取り出した「なつめやし」。
「甘い!もうひとつ」と言うほど、スクワ姫は「なつめやし」を気に入り、メンタルを持ち直したのです。
食べることでメンタルは大きく回復する!
ハードラックな二人の道行き。
フィジカルも大切ですが、
食事というのはメンタルにも大きな影響を及ぼすものです。
ハードな旅だからこそ、
心の栄養となるような食べ物が必要だということですね。
その点、ドライフルーツは優秀です。
特に「なつめやし」は干し柿に似たスイーツ寄りなお味なうえに栄養価が高く、ドライフルーツにした「なつめやし」100グラムあたりのカロリーは270kcal。
主な栄養素は、鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛、ビタミンE・B1・B2・B6・ナイアシン、葉酸、パントテン酸など。
吸収が早く、即エネルギーになるぶどう糖・果糖が含まれているのも特徴です。
この豊富な栄養素と吸収の良い糖を含む性質から、古くから中近東諸国など砂漠に住む人々にとっては重要な食品として位置付けられており、日常的に食されるだけでなく、旅人の保存食とされてきました。
保存食として優れ、栄養豊富な乾物でありながら、
お姫様を満足させる味を持つ「なつめやし」。
非常時の食糧としてこのようなドライフルーツを忍ばせておくことは、豊かな時代を生きる我々にとっても非常に有効なサバイバルの手段であると言えるでしょう。
また、フルゥは「赤にしん」も旅の食糧としていました。
「赤にしん」とは、にしんの燻製。
スクワ姫のお口にはいまいち合わなかったようですが、それでもメイン食材として旅を支えていたようです。
燻製とは、乾物を燻すことで雑菌の繁殖を抑え、脂肪の酸化を防ぎ、さらに保存性を高めた食品のこと。
独特の風味も加わることで、より幅広い味が得られます。
まとめ
このように、乾物は実にバリエーション豊かです。
保存性と栄養価に特化したもの。
心に潤いを与えるもの。
さらなる保存性と独特の風味に優れたもの。
多くの乾物を使い分けることによって、
非常時においても十分な栄養とメンタルの充実を得ることができるのです。
というわけで。
「乾物なんて戻すのめんどくさい」とか言わずに!
日頃からキッチンにさまざまな乾物をストックしておくことで、おいしくレッツサバイバル!
お姫様もサバイバル!
ついでに乾物レシピも覚えれば、自炊メニューも増えて一石二鳥だよ!