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マンガ『コータローまかりとおる!L』を読んで木綿布が武器になることを学ぶ

[WRITER] ダクトテープ

 

護身のために何か頼れるものを、せいぜい御守り代わりとしてでも持っていたい。

そうはいっても、世の中は厳しいもので、人気漫画家が刃渡り8.6cmのアーミーナイフを所持していたとして逮捕されてしまったのは記憶に新しいところ。

銃砲刀剣類所持等取締法第22条では、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない」と、刃体の長さが6cmを超える刃物の携帯が禁止されています。

護身用であっても自刃用であってもです。

厳密には形状も定められているのですが、多くのナイフはアウトです。

そこで、もっとカジュアルというか、デイリーユースというか、そういうものを護身用に使えないかなぁと。

ジャッキー・チェンが映画でやるみたいに、日用品でさっと闘えたりしたらかっこいいよね!

そこで、こんなのどうでしょう?という例を見つけてきました。

今回は「木綿布を武器にする」という護身ライフハックです!

 

テキストは蛭田達也作『コータローまかりとおる!L』の第1巻

『コータローまかりとおる!』は、1982年連載開始。

以後、柔道編の『新コータローまかりとおる!』『コータローまかりとおる!L』と、世紀をまたいで続いている長寿シリーズです。
ジャンルは「学園もの×総合格闘」としておきましょう。

主人公は、長髪が特徴的でやたら強い新堂功太郎。

お隣に住む風紀委員の麻由美ちゃんとはいい感じ。

風紀委員会特別機動隊々長の天光寺輝彦とは、好敵手と書いて「とも」と読んじゃう感じです。

ここで大事なことを言いますね?
「小夜子尊い小夜子!」
はい、気が済んだので進めましょう。

自宅がたびたび舞台になるにも関わらず、長らく功太郎の両親は登場しませんでした。
謎だった功太郎の母親・功流美(くるみ)が登場し、忍者であることが判明したのが「コータローまかりとおる!L」。
そして、彼女が木綿布のテクニックを披露してくれます。

さて。
ここからは彼女のことは功流美さんとお呼びすることにいたします。
というのも、母親と呼ばれるのをとっても嫌がる方なのです。

長らく日本を離れていた功流美さん。
成田に降り立って早々、追っ手の気配に気付きます。
追っ手を退治しようと人気のない墓地へ誘い込みますが、そこには偶然、功太郎たちが。

ここで、追っ手退治に使ったのが木綿布です。

功流美さんは「そなえあればうれいなし」と、手拭い状の木綿布を出して、手桶の水でそれを濡らします。
そして、濡らした木綿布に石を巻き込んで投石手裏剣をはたき落とす相手に巻き付けて束縛するなどの技を見せます。

ところで、手拭い状の木綿布を濡らして、このように使うことは可能なのでしょうか?

 

木綿布を濡らせば武器になるのか?

「濡れ手拭い」と言えば、明治の格闘家で大東流合気柔術創始者・武田惣角のストリートファイトが知られています。

銭湯帰りの武田惣角が暴漢と戦った際に、腰の濡れ手拭いを武器にしてこれを撃退したというもの。

叩きつけた手拭いで足をからめ取り、足払いをする。
巻き付けて引き倒す。
手拭いを叩きつける。

このように濡れ手拭いを使って、身長150cmと小柄な惣角ひとりで、6人もの暴漢を懲らしめたといいます。
暴漢の中には、手拭いでの打撃によって腕を骨折した者もいたとか

さらには、頬の肉を削ぐ、瓦20枚を割るほどの威力があったとも伝えられているそうです。

また、拳骨和尚とも呼ばれる不遷流柔術の創始者・武田物外には、濡れ手拭いで竹を切った話が残っています。

現在でも、柔術系の流派には手拭いで刀を捉える「太刀取り」をはじめ、手拭いを使用した技が実際に存在しています。

功流美さんは忍者であるという点からも考えてみましょう。
忍者が肌身離さず携帯していた「忍び六具」には手拭いが含まれており、これは武器としても使用されていました。
主に、石などを包んで振り回して叩きつけるなどしていたようです。

手拭いが「綿」である点にも注目。
木綿は水で濡らすと、繊維が水分を含んで膨らみ、強度が増します。
ところが、化繊は逆に弱くなってしまいます。
手拭いであれば大抵は綿100%なので問題ありませんが、化繊ではこうはいかないのかもしれません。

これらをまとめて考えると、武道家であれば濡れ手拭いで戦うことは十分できそうです。
ただし一般人のための護身術となると、ちょっと難しい・・・

 

素人には投石がおすすめ!

そこで、功流美さんが最初に繰り出した攻撃、「投石」に注目してみましょう。
木綿布で石をからめ取って、離れた相手に投げつけています。

投石術である印地撃ちの中には、平安時代の女性が被っていた領巾(ひれ)に石を入れて投石する方法もあり、これは女性のための護身術でもありました。

振り回して相手を撃退したり、動きを封じたりするのにも使われたといいます。
この方法でくるくると何度も回してから投石すれば、威力はかなり増します。

濡れ手拭いで相手に打撃を与えるよりも、こちらのほうが素人向けではないでしょうか。

何より、相手と距離をとれるのがGOOD。
護身術は、基本的に相手を倒すよりも、距離をとり、隙を作って逃げるための技術ですから。

 

下着をふんどしにしてみよう!

ということで。
護身用に携帯するなら、手拭いはどうでしょう。

濡れ手拭いは武器になります。
素人なら、投石や、中に物を入れて振り回して使うのがおすすめです。
そして、相手にダメージを与えたら、即、逃げること。

職務質問されても安心ですし、ふつうに普段から用途の広いアイテムですしね。

と、手拭い、手拭い、言ってきましたが・・・
実は、功流美さんが使った「手拭い状の木綿布」の正体とは、天光寺輝彦の「ふんどし」だったのです。

普段の下着をふんどしに変えるというのも、護身のためのライフハックかもしれませんね。

サバイバルポイント

75m以上の高さから水面に落下すると、生存例はほとんどないようですね。

濡れ手拭いの威力とは、あんま関係ないけど。。