よくないコレ?
コレよくない?
よくなくなくなくなくなくない?
こんな感じで、いいないいなー見せて見せてーってこと、あると思います。
でもそれ。
危なくない?
危ないコレ?
危なくなくなくなくなくない?
というわけで、不用意に相手の武器を「見せてもらうこと」「見せてあげること」は危険だよというお話です。
ケース01:漫画『バナナフィッシュ』第1巻
アニメ化が話題の『BANANA FISH(バナナフィシュ)』は、ニューヨークのストリートキッズと日本人の学生の友情、そして、キーワード「バナナ・フィッシュ」の謎を巡る物語。
主人公の一人・エイジは19歳の大学生。
カメラマンのアシスタントとして、もう一人の主人公・アッシュがいるニューヨークのストリートキッズのたまり場へ取材に訪れます。
このたまり場へは、刑事に紹介された案内役の男の子に連れてきてもらったわけですが、警察関係者は入れないうえに、刑事から「めっちゃ危険」だと念を押されていたことから、エイジもカメラマンもおっかなびっくり。
そして、ストリートキッズのボスであるアッシュに会い、二人は愕然とします。
というのも、刑事から聞かされていたアッシュの情報から、いかにもな「ボス」を想像していたのですが、目の前に現れたアッシュは少年らしい少年だったのです。
ですがまあ、やはりストリートキッズのボス(IQ210)だけあります。
アッシュの持つ迫力は相当なもの。
カメラマンの緊張は解けることなく、ぎこちなく取材が始まります。
しかし、打って変わってエイジは大胆な行動に出ます。
取材中、アッシュが腰に差している銃に目を留めたエイジ。
「それは本物か?」と尋ね、
「日本じゃモデルガン以外は持てないんだ。ちょっと持たせてくれるかな」と頼みます。
この言葉に周囲は凍りつき、物騒な雰囲気に・・・
ところが、意外にもアッシュは「いいよ」と笑顔でエイジに銃を手渡します。
ざわめく気配をよそに、「わあい♪」と音符付きではしゃぐエイジ。
さらには、「人を殺した経験があるか?」という際どい質問までぶつけます。
二人の生きている現実に大きな隔たりがあることが分かる出会いですね。
エイジが自分の行動の大胆不敵さを知ったのは、案内役の男の子に一杯おごられ、
「以前、アッシュの銃を触ろうとした酔っ払いが、その場で指を吹っ飛ばされた」という話を聞かされたときでした。
相手の武器である銃を見せてくれと頼んだエイジの行動はまさに自殺行為。
アッシュはストリートキッズのボスなわけで、たとえアッシュが何もしなくても、取り巻きから制裁を受けても仕方ない行為だと言えるでしょう。エイジは童顔でいかにも世間知らずな雰囲気があったからこそ無事でいられたのかもしれませんが、運が良いとしか言いようがありません。
しかし、このシーン、エイジの行為ばかりが非難されるものではありません。
逆もまた然り。
アッシュにはアッシュなりの読み・駆け引きがあったのだと思いますが、銃を渡したエイジが発砲しない保証はありません。
自らの武器を相手に渡したアッシュの行為もまた自殺行為なのです。
このことは、次のケース02ではっきりします。
ケース02:漫画『ザ・ファブル』第141話
『ザ・ファブル』は無敵の殺し屋・佐藤が大阪でフツーに暮らすことを目指す日常系漫画。
(ちょっと違うけど、だいたい合ってます)
しかし、今回参考にするシーンは佐藤のいる大阪ではなく、埼玉県某所が舞台。
ここにファブルのボスが世を忍んで潜む整骨院があるのです。
ファブルのボスは、強面のおじさん。
同じボスでもアッシュとはだいぶ違う、ボスボスしたボス、どこから見てもボス、「ボス オブ ザ ボス」です。
そこに、やってきたのはスカウトの男。
仕込んだばかりの新人暗殺者を、ボスに見立ててもらおうと連れてきたのです。
新人の暗殺者に、ボスは言います。
「誰だろうと油断するな」
「知恵と工夫を習慣づけろ」
「俺の言うことは絶対だ」
そして「意味は分かるな」
続けて「ハンドガンは何を使ってんだ?見せてみろ」と。
新人の暗殺者は「CZ系です」と答えると、「どうぞ」とボスに手渡します。
ボスは手入れの良いことを褒めると、
新人暗殺者にパシュッと発砲。さりげなーく。
たしかにボスは「俺の言うことは絶対だ」と言いましたが、その前に「誰だろうと油断するな」と言っています。
「知恵と工夫」が必要な場面だったのかもしれません。
初対面の相手に「銃を見せてみろ」と言われてそれに従い、バキューン撃たれてしまったわけです。
普通に考えて、「自分の武器を相手に渡す」ということは、形勢を圧倒的不利にすることになります。特に物騒な界隈では、そのまま殺されてしまってもおかしくないのです。
まとめ
不用意に相手の武器を「見せてくれ」と言うのは命知らずな行為。
また、見せてくれと言われて、「見せてあげる」のも自殺行為です。
たとえば、バックパッカーとして旅行をしていると、思わぬ一団と出くわすことがあります。
彼らは、無邪気な少年だったり、陽気だったり、親切だったり、至って「普通」です。
しかし、武器を持っているのであれば、やはりそこには彼らなりのルールがあります。
そんなとき、武器をじろじろ見たり、カメラを向けたり、ましてや触らせてくれというのがどれほど危険なことか・・・
ちょっと心の隅に入れておくと、サバイブできることがあるかもしれません。
武器でなくとも、たとえば、職人さんの道具などでも同じですね。
料理人の包丁、大工の金槌、野球選手のグローブなどなど。
相手の大切なものを気軽に扱うことで、心象を害することはよくあること。
気をつけないといけませんね。
畳職人の針とか、超さわってみたいんだけど!!
サバイバルポイント
武器を相手に渡してしまったら、本人はもう無力だ。何もできない。
野球で言えば、バットを持たずに打席に入るようなもの。四球を選ぶしか勝ち目はない。
しかし、かつてバットを持たずに打席に入り、四球を選んだバッターがいた。
長嶋茂雄だ。