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マンガ『ザ・ファブル】を読んで、テーブルの上に両手を出しておくマナーで生存率が上がることを学ぶ

[WRITER] ダクトテープ

食事というものはただの摂食行動ではなく、心に大きく作用するもの。
だからこそ、人は食卓を囲むのです。
日々の付き合いの中で、人生の節目の祝いの席で、家族で。
同じ釜の飯と言いますが、ともに食事をするという行動は、一気にお互いの心理的距離を縮めます。

そして逆もあり得ます。
食事中の行為というのは、案外気になるものであり、生理的側面でもって感じることが多いものです。
生理的というのは身体による反応で、理屈によって判断を変更する事が難しいということです。
つまり、食事中の何らかの行為が悪い意味で気になってしまった場合、それは生理的な判断であることが多く、頭でわかっていても受け入れがたいということ。
さらにその行為が受け入れがたいということは、行為をした相手への拒絶、嫌悪へとつながりかねません。

 

食事は諸刃の刃。
お互いの距離を縮めてくれることもあれば、袂をわかつ元にもなるのです。

 

しかし、そうならないために、マナーというものがあります。
大抵はマナーを守ってさえいれば壊滅的ななにかはおこらないはずです。

 

マナーは人間関係のサバイバルにおける、いわば潤滑油になると言えるでしょう。

いやそれでもマナーなんぞいらんわという考える方もおありでしょう。
そんなアウトローな考えの元、一風堂のカウンターで替え玉を投げるようにポチャ入れして両隣に赤丸のスープをまき散らしたあげく辛子もやしの蓋を開けっ放しにする前に、ちょっとこれを読んで考えてみてください。

 

正直、マナーを守ってないといざというときに死にますよ?

 

どういうことかというと。

 

かつて、ヨーロッパ各地の貴族たちは、その栄華を誇るとともに、常に謀略・謀反におびえていました。

食事の時間は隙がうまれやすく、まさに謀反のチャンスタイム。
そんなドキドキハラハラなお食事謀反タイムから生まれたのが、現在広く一般に採用されているヨーロッパ式マナー(らしい)。

 

例えば、常に武器を持っていないこと、何か怪しい動きをしていないことを表すために、

 

常に両手はテーブルの上に出して見えるようにしておく

 

こと。

これが、よくコドモが注意されている「左手下げないで食べなさい!」というマナーの根拠だと言われています。

 

ヨーロッパ貴族がお互いの命の保証のために作り出したマナーですから、当然、私たちだって守ったほうが寿命も延びるというものです。

 

貴族じゃないし、とまだ強情をおっしゃるようでしたら、ひとつサンプルをご紹介いたしましょう。
サンプルは、マンガ『ザ・ファブル』の111話「水とティッシュ」

 

「ザ・ファブル」は「週刊ヤングマガジン」連載中。
作者は1999年に第41回ちばてつや賞準大賞を受賞してデビューした南勝久先生。
2017年には第41回講談社漫画賞一般部門を「ザ・ファブル」で受賞しており、「第41回」に縁があるっぽい。

 

主人公はたれ目で猫舌で無敵の殺し屋。
でも組織「ファブル」のボスの言いつけで現在一年間の休業中、佐藤アキラを名乗っています。
でもやっぱり身の回りにはいろいろとおこるもので、結構いろいろ巻き込まれてます。
でも休業中だからちゃんと不殺。
しかも相手は成敗。すごい。

 

愛用の銃はナイトホークカスタム。セレブです。
過去に二度命を救ってくれた相棒だと言って、休業中もバレルを抜いたナイトホークカスタムの本体だけは側に置いています。

 

この漫画には自分の愛用の銃にひとかたならぬ思いを持つ人物が登場し、そのことがわかるたびにその人の好感度がちょっとあがります。
休業期間中の佐藤の身元を引き受けた組長が尺取虫・ルガーとか。
佐藤の身辺を世話する若頭の海老原がレンコン・S&W M36とか。

 

そして今回、お行儀悪くてやばかったのが、ハッシュパピー・Mk.22 Mod.0を使う殺し屋の鈴木。

 

鈴木は佐藤についてさぐるため、佐藤の運転手であり熱いものふーふー係の妹役・ヨウコの家に上がり込み、水を要求。
「少し話したいだけだ」と当面の殺意がないことを表すため、ハッシュパピーをテーブルに置き、テーブルにつきます。

この時の鈴木の姿勢がいけません。
椅子の背もたれによりかかり気味に深く腰掛け斜めの姿勢。
両腕はだらりと下げてテーブルの下。
お行儀悪すぎ。

これにはヨウコも思わず「いいの?」と忠告。

「例えばテーブルの銃・・・いいのそこで?」
「両腕をおろしてるけどいいのそこで?」
「目線はいいのそこで?」
「座ってても重心はブレてない?」

ヨウコは忠告を終えると、勢いよくテーブルを鈴木に向かって押し出しました。
テーブルごと椅子に押しつけられる鈴木。
鈴木は椅子の背もたれとテーブルに両腕を挟まれて行動不能になってしまいます。
その隙に、慣性の法則で留まっていた鈴木のハッシュパピーを奪取し構えるヨウコ。
この後はヨウコひとりで鈴木を撃退。
鈴木はファブル一味の底知れなさに驚かされたのでした。

テーブルの下に手を置かないというマナー違反をしていた鈴木は、いざという時に動けなくされた上にハッシュパピーまで奪われてしまいました。

ちなみにヨウコはきちんと背筋を延ばしまっすぐと座り、両腕はテーブルの下にあったものの脇を締め、手は腿の上に置き、行儀良く、いざという時は動ける体勢になっていました。

 

いかがでしょうか。
「手はテーブルの上に」とコドモの頃に躾られたあの思い出。
うっとおしいと感じることもあったかもしれません。
しかし、鈴木のように手を下げていることのリスクを考えてみてください。

 

テーブルを叩きつけられたら、行動不能になるばかりか、両腕に深刻なダメージを負う可能性だってあります。
まあ、敵対者に押さえ込まれるようなシチュエーションはあまりないかもしれません。
ですが、もしも地震などでテーブルと壁の間に腕ごと挟まれてしまったら・・・

 

マナーには命がけの根拠があること、マナーを守ってないと命の危険があることが、おわかりいただけたことと思います。
マナー大事。

 

手をテーブルの上に出すマナーは前述したようにヨーロッパ式。
これがなぜかアメリカだと、左手(利き手ではない手)は膝において食事するのがマナーということになっています。
世界中を見回すと、不浄の手は隠す文化圏なども存在しますが、日常においてリスクを最小におさえるなら、日本でも一般的である「手を上に出す」マナーを採用したほうが、サバイバルできそうです。
好感度的な意味でも。

マナーとは、相手を不快にさせない思いやり。
そして自分の命を守るサバイバル術でもあるのです。

 

とにかく!
辛子もやしの蓋はしめよう。

サバイバルポイント

食事中、両手はテーブルの上!