まず今回はOVAという言葉の説明が必要かもしれない・・・
良いかお若いの、よく聞きなされ。
OVAとは、「Original Video Animation」という和製英語の略で、一般公開ではなくセルあるいはレンタルを目的として製作されたアニメーション作品のこと。
『ダロス』(1983年)という作品があってな・・・我が家のどこかで今も眠っているという。
OVAは、1990年代におそらく全盛期を迎えたものと思われます(皮膚感覚で)。
今回扱うOVA版『究極超人あ~る』も、1991年に制作された作品です。
原作となった『究極超人あ~る』は週刊少年サンデー連載の漫画。ゆうきまさみ先生の作品で、『機動警察パトレイバー』とか『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』を描いてる先生ですね。
『究極超人あ~る』は、アンドロイドのR・田中一郎と、彼の所属する光画部をはじめとした文化部の面々による日常コメディ。
OVAはオリジナルストーリーで、光画部の撮影旅行が描かれています。
いわゆる聖地巡りをするファンの多い作品なのですが、それだけではありません。
作中で撮影旅行の恒例となっている「下山ダッシュ」に挑戦するファンも後を絶たないのです。
「げざん」ではなく「しもやま」と読む「下山ダッシュ」。
人間が電車と競争して勝てる、とある奇跡の区間を走る行為を指してそう呼びます。
もともとは地元の高校生や鉄道ファンの間で話題になっていました。
「下山ダッシュ」の「奇跡の区間」が存在するのは、愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶJR東海の鉄道路線・飯田線。
飯田線の下山村駅~伊那上郷駅間が「下山ダッシュ」の舞台です。
下山村駅から伊那上郷駅の間は直線で2km。
しかし、線路は大きく迂回し、鼎駅、切石駅、飯田駅、桜町駅の四つの駅を通過、電車はおよそ6.4kmの距離を走ります。
というのも、秘境駅で有名な飯田線、そこは山道ですからうねうねいろは坂状態なわけです。
しかも、飯田駅で時間調整することもあるという・・・
つまり若人が全力で2km走れば、下山村駅で下車した電車に伊那上郷駅で追いつき、再び乗車できるかもしれなくなくなくなくない区間なわけです。
ちなみに、光画部の戦績は25勝32敗。
さて。
そろそろいるんじゃないでしょうか。
この「下山ダッシュ」に挑戦してみたくなってきちゃった猛者が。
逆に。
なんだろうがダッシュとか無理、と決めつけちゃった方もいるのではないだろうか。
電車VS人間。
速度的な意味合いで考えればまず勝てるワケもなく、今回のように直線距離と迂回距離から考えた単純な時速計算で答えは出てしまいそうな気もする。
だがそれだけではないのですよ。
大事なことは、戦場把握と状況把握をした上で戦略を立て、電車という規則的なアクション(日本に限る)を逆手にとって戦術に組み込めば、この体育会系なチャレンジでも、運動不足インドア派にだって、圧勝することもできるってことナンです。
そこで「下山ダッシュ」成功のためのアドバイスをまとめてやろうではないか!
ちなみに実践はしていない!
それでも「下山ダッシュ」のイメトレは常に万全のダクトテープである!
■「げざん」じゃない
まず、ここが大事なところ。
下山村駅→伊那上郷駅の走行コースは、およそ2km。
一方、時刻表を見ると、電車での所要時間は15分くらい。
つまり、2kmを15分で走ればミッションコンプリートということです。
一般に、時速8kmでジョギング、時速10kmでランニングと言われていますから、普通に2kmならいけるんじゃないかと思うでしょう。
思ったでしょう?
でも悲しいけどこれ飯田線なのよね。
山間部を走る飯田線。
なんと下山村駅と伊那上郷駅の高低差は70m。
クライムヒルコースとなります。
「下山」と書いても「げざん」コースではないのです。
よって、登坂に耐える十分な脚力と、ペース配分が必要になります。
■ペース配分
下山村駅を出て、橋を渡るまではフラットなコース。
しかし、その先はひたすら登り坂が続きます。
あ~る達も坂道で息が切れ、タイムリミットぎりぎりでの乗車となりました。
どうやら坂道のために体力は温存しておくのが得策のようです。
■飯田駅での停車時間
時間帯によっては、飯田駅で停車時間のあることも。
あ~る達の挑んだ電車も、飯田駅で三分停車しています。
時刻表を確認しておくことで、若干、有利な勝負に持ち込むことも可能というわけです。
三分は大きい。とても大きい。
■真夏の炎天は不向き
あ~る達は真夏の「下山ダッシュ」に挑戦しています。
登坂コースとともに、真夏の日差し・高温もあ~る達の体力を奪うものでした。
炎天は「下山ダッシュ」に不向きな天候です。
もしも、どうしても真夏に挑む場合には水分補給をしっかりと。
鳥坂先輩が飯田駅の停車時間中にジュースを購入していますが、ゴール後の水分補給のためだったと思われます。
■五叉路
下山村駅から伊那上郷駅へのルート上には、多くの挑戦者を迷わせてきた魔のポイントがあります。
それが、高松交差点の五叉路。
この五叉路、右斜め前でも、左斜め前でも伊那上郷駅に到着するのですが、ちょうど激坂を登りきり、脳が酸欠でフレンズ気味になっているところにあるというのが恐ろしい。
すごーい!
あらかじめ、どのコースで行くかしっかり選択しておくと、道に迷う心配がなくなるでしょう。
今回の光画部の走行メンバー三人中、二人は「下山ダッシュ」経験者でした。
ルートを知っているのは強みです。
事前に地図や「下山ダッシュ」動画で走行ルートをしっかりと把握し、高松交差点の五叉路では改めて冷静になるようにしましょう。
■交通法規は遵守
途中、信号があります。
焦っていても信号は絶対。
交通法規は遵守しましょう。
■駅員さんは味方
駅員さんはかなり「下山ダッシュ」に理解がある模様。
「下山ダッシュ」にむけて切符を渡した時点で、「下山ダッシュ」挑戦者であると察してくれて、応援の言葉をかけてくれることもあるとか。
駅員さんは味方です。
大体これで勝てます、人間。
いい感じに短くまとめられた動画(5分)がYoutubeにありましたので、紹介させていただきます。
うん。人間は走って電車に追いつくことができる。
こういうの見ると、これ自体には何の意味もないワケで(だって電車に乗ってればいいんだもん)、人間て馬鹿だなぁとかも思うワケですが、それでもヒト科としてプライドというか、機械に頼らない姿を何処かで求めているというか、こんなことに一生懸命になって、情報を集めて、色々な工夫をして。人間って愛しいなぁ、とかも思うのですよ。あーほっこりする。
運動不足なダクトテープはイメトレしかしていないんですよ。
現地の写真、動画、地図などをじっくり見ながら、こんなかんじかな~って。
では、そのイメトレは無意味かというとなんとそうでもないらしく。
なんとイメトレすると、脳も筋肉も運動したのとおなじようにちゃんと働くので、それなりに効果があるんだとか。
ダクトテープは脳内飯田線に乗り、脳内「下山ダッシュ」のイメトレをして、運動不足になりがちなアーバンライフというリアルと闘っているワケです。
ちなみに、飯田線には夏焼トンネル&夏焼集落へ行くための下車駅・大嵐駅があります。
ここもまたある種の人々にとっては大変な聖地でして、飯田線とは愛に満ちた聖地鉄道なのだと主張しつつ、bye-byeまたね。
うちあけられない、言いだせない、飯田線のバラード~♪
サバイバルポイント
戦況さえ把握すれば、人間は走って電車に追いつくことができる。