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マンガ『ヴィンランド・サガ』を読んで雪上での”止め足”について学ぶ

[WRITER] ダクトテープ

 

冬です。

寒いです。

地球温暖化って聞いてたんですけど?
というか、ねえ知ってた?地球温暖化のほうが寒くなるんだって!(えー?)

 

そんな感じでですね、寒い寒い季節にぴったりな雪上でのサバイバル術を『ヴィンランド・サガ』でちょっと学んでみましょう。踊りたい!サタデナイ!

 

今回、学ぶのは「止め足」

 

『ヴィンランド・サガ』の117話、「狩るものと狩られるもの」に登場します。

 

『ヴィンランド・サガ』は、11世紀頃のヴァイキング達と北ヨーロッパの各地を描いた歴史系漫画
ヴァイキング無双編、復讐編、農業編、育児編・・・に勝手に分けて解釈していますが、多分、だいたいあってます。

 

父の復讐を誓った主人公・トルフィンはいったんはヴァイキングから奴隷身分に落ち、農業を通じて生まれ変わります。
そして平和な国を築こうとするのですが、かつて自分が命を奪った村人の娘であり理系っ娘のヒルドに命を狙われる立場に。
自分の仲間の命を盾に取られたトルフィンは、ヒルドの説得を試みるため、彼女がクロスボウを構える森へ、足を踏み入れます。

 

ここで、ヒルドがとった作戦が「止め足」です。

 

ヒルドが雪上に残した足跡を追っていたトルフィン。
ですが、その足跡は突如、途切れていました。

 

ヒルドは自らの足跡を踏んで後退し、横飛びに道を逸れる「止め足」を使っていたのでした。

 

百戦錬磨のトルフィンはこれがヒルドによる「止め足」であることに気がついたものの動揺し、結果的にヒルドの仕掛けた罠へと向かってしまうことに……まぁ、ネタバレするとヒルドも(和解はまだなものの)トルフィン一行に加わるわけですが。

 

トルフィンがそうしたように、雪上での行動の手がかりは、なんといっても足跡です。
他の条件での足跡とは違い長時間残り意図的な隠滅が難しく、さらに時間の経過や重さなどを知るヒントにもなります。

 

サスペンスものの雪トリックにも良く使われますね。金田一とかコナンとか。

 

また、雪上ではありませんでしたが、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』、いわゆるジョジョの第4部でも、ネズミのスタンド“虫喰い”がこの止め足、バックトラックを使って承太郎と仗助を追い詰めていましたね。JOJO4で承太郎を死に近いところまで追い詰めたのって、吉良とこのネズミだけなんですよ。マジで”虫喰い”さん、パネェす。

 

雪上の足跡は、追跡者にとって非常に都合の良いものであるように思えることでしょう。

 

しかし、そこを逆手にとったサバイバル術が「止め足」と言う訳なのです。
確かな情報であるからこそ、利用する価値があるのです。

 

まず、自分が止め足を使う場合。

雪の上をある程度歩き回ります。
そして、追跡者との距離がある程度開いたタイミングで、自分の足跡をなぞって後退。

 

この、後退スタートのポイントを【A】とします。

 

後退して、藪などへ飛び込み姿を消します。

 

この飛び込んだポイントを【B】とします。

 

追跡者は、ポイントAまで足跡を追ってきたものの、その先に足跡が無く、追跡不能となります。
実際はポイントAよりももっと手前のポイントBで別ルートへ逃げられているのです。

しかし、足跡をなぞっているので戻った足跡もありません。
例え、別ルートへ逃げたということに気がついても、どこで別ルートへ移ったかの推測は難しくなります。

 

止め足を使うことで、完全に相手を撒くことは出来ずとも、時間を稼ぐことは出来ます。
また、相手の動揺を誘うきっかけにも使えます。

ヒルドのように罠へと誘い込んだり、誘導に使うことも出来るでしょう。

 

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止め足を使う場合の注意点がいくつかあります。

まず、ポイントAまでの間に、ある程度歩き回っておくこと。
追跡者を足跡に集中させます。

 

それと同時に距離を開けます。
ポイントBへ戻って別ルートへ飛び込むところを見られては意味がありません。

 

ポイントAからBへと後退する際は、正確に自分の足跡を踏むこと。
ポイントBを発見されにくくします。

 

そして、ポイントBの候補(飛び込む藪など)を把握して歩き回ること。
事前の下見や、地形の知識が必要になるかもしれません。

 

とはいえ、訓練された犬には通用しません。
災害救助犬などは、空気中を漂う浮遊臭を嗅ぎ分けます。
目視で足跡を手がかりにする相手にのみ有効なのです。

 

逆に、自分が追跡者の立場だったら。

止め足に対してどのような注意や、利用法があるでしょうか。

 

追跡中のターゲットが人間の場合。
人間ならばひと跳びで何mも横に逸れることは不可能です。
また、危険な崖下へ降りるなどもあまり考えられません。
大きさも重さもそこそこあります。

 

・すぐ横に人間の足跡をかくすだけの藪はないか。
・人間が飛び移ることのできるようなものはないか。
・伝って降りられるものはないか。

 

こういった風に周囲を観察しながら追跡すると、もしも止め足を使われた時に、ポイントBを推測しやすくなるかもしれません。

 

足跡以外のヒント、たとえば藪の踏み分け跡だとか、散らかった葉とか、よじ登った埃の跡などもヒントになるでしょう。

 

止め足を使うのは人間だけではありません。
むしろ森のお友達である野生動物の止め足こそが、元祖であり本家本元でしょう。

 

■ターゲットがウサギの場合。

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ウサギは寝る前に止め足をする習性があるそうです。
うまくいけば、ウサギを捕ることができるかもしれません。

あるいは「うさぎとかめ」の語り部に抜擢された暁には、ウサギの止め足シーンをプラスして、ついでに蘊蓄かたむけることが出来ちゃうってもんですな。

 

そしてこれはまさにサバイバル。

 

■ヒグマ、グリズリーの場合。

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ヒグマ、グリズリーは高い戦闘能力を誇るばかりでなく、かなり賢い生き物です。
時に、止め足を利用して我々を待ち伏せる事もあると言います。

追跡されていることに気がつくと止め足で相手を困惑させ、立ち止まった相手の背後から襲いかかるという、ウィリー・ウィリアムスでもちょっと無理かもな展開に持ち込むわけです。

 

あなたがカラテカであってもカラテカでなくても、くれぐれも熊の足跡は追わないようにしましょう。

 

地球温暖化でむしろ寒くなるという謎の現象にふるえつつ、冠二郎の「バイキング」でも歌って締めましょう。
♪Go Go Go Go バイキング~

サバイバルポイント

・止め足は追跡者を撒く、あるいは時間稼ぎに有効
・訓練された犬には無効
・ウサギは寝る前に止め足を使う習性がある
・クマは止め足を使って背後から襲いかかることがある