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マンガ『賭博黙示録カイジ』を読んで耳や指を切断してしまったときの対処法を学ぶ

[WRITER] ゲストの極みまとめ

ざわ・・ ざわ・・

 

決して自慢ではないのですが、私は今まで交通事故に何度もあったことがあります!

救急車で運ばれたこともあるのですが奇跡的にいずれの場合も軽症で済みました。

こんな風に、人間が生活する上でいつどんな事故が起こるか分かりません!
交通事故にあって軽症で済むこともある一方で、工場の作業中にうっかり指を切り落としてしまった!なーんて話を耳にしたこともあります。

そんな風に、耳や指などの体の一部を切り落とされたにも関わらず、元に戻っている漫画があります。

 

『賭博黙示録(とばくもくしろく)カイジ』 12巻(耳)、13巻(指)
著:福本伸行先生 

 

カイジと言えば、その特徴的な絵柄と心理描写、心を抉るような名言が生まれることで有名な福本先生の作品ですね。 『アカギ〜闇に降り立った天才』、『銀と金』、『天~天和通りの快男児』と、数々の名作を生み出している先生です。

カイジシリーズはアニメ化もされ、 実写版『カイジ 人生逆転ゲーム』では藤原竜也さんがカイジ役を務め、「カイジ、カッコ良すぎない?声、渋すぎない?」などとも思いつつ、利根川に扮する香川照之さんの悪役っぷりが素晴らしく、

 

『甘えるな。世間はお前らのお母さんではない。』

 

この台詞に、私も含めて何人の青年が背筋を伸ばされたかわかりません(たぶん)。

 

駄目人間でありながらも時として凄腕のギャンブラーとして覚醒するカイジ(常に駄目人間である私とは大違いです)。 
そんな彼は、第1シリーズの『賭博黙示録(とばくもくしろく)カイジ』で、帝愛グループとのギャンブル対決の結果、12巻では片耳を、最終巻の13巻では片手の親指を除く指4本を切断される羽目に陥ってしまいます。

 

おわぁ・・・

 

それはもう、カイジじゃなくてもざわざわしますよ、ざわざわ

 

しかし、13巻のラストでは闇医者のところに担ぎ込まれ、続編である『賭博破戒録(とばくはかいろく)カイジ』では、落とした片耳も、4本の指もちゃんとあるので、どうやら無事くっつけることが出来たようです。

 

つまり、身体の一部分を切断してしまっても、手術でくっつけることができる?

 

はい、再接合できます。

 

耳や指どころか、腕、足、頭部など、相当な事故やダメージでも、“元のパーツ”さえあれば、世界では再接合に成功している事例がたくさんあるのです。何故か腹部の事例は見つけられませんでした。さすがに腹部は、再接合以前に、出血多量で失血死になってしまうのかもしれません。お腹だけは斬られないようにしてください。

 

指や腕を切断してしまい、それを手術で再接合する、といった話は、映画やマンガではそれなりに出てくるものですが、実際に細かい描写や説明がなされないので、『”元のパーツ”を、冷やして保存して病院まで持っていく』くらいのイメージではないでしょうか。

 

これだと、たぶん駄目です。

 

実際には、それなりの条件があるのです。

 

ここ、けっこう大事ですので、しっかり理解しておきましょう。

 

■事故後の手順

①止血
当たり前の話ですが、まずは止血して、救急車を呼びます(呼べる状況であってください。闇医者とか知りません)。失った部分よりも、本体の出血を止める方が先です。元に戻せるからと言って、そっちに気を奪われてしまうと、失血死なんてことになりかねません。圧迫法でとにかく止血しましょう。次のことを考えるのは止血してからです。

 

②失ってしまった部分の”パーツ”の保護・保存
この保存の仕方が大切です。

▼ボウルやコップなどの器に水と氷を入れて、4℃前後の氷水(こおりみず)を作る

▼”パーツ”は、(可能なら切断面を水で洗浄し、ガーゼなどで包んで)清潔なビニール袋などで密封する

▼その上で、ビニール袋ごと氷水に浸す

 

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これは、単純に”パーツ”を冷やせばいいという話ではなく、4℃前後の状態で清潔に保存する、ことが重要で、

 

パーツを何かで包まずに、氷水に直接浸けるのはNo Goodです。

 

気が動転していると、「冷やす」ということだけが頭にあって、これはやってしまいそうです。

 

・4℃以下で冷やしすぎると切断面の細胞が死んでしまうので、氷が直接触れないようにする

・切断面が空気や水に直接触れると、細菌などに感染する可能性がある

・氷を容器に大量に入れると温度が下がりすぎるのでNG、程々の量にする

・直接的にパーツを氷の中に突っ込む、ドライアイスで冷やす、などは御法度

 

このあたりに注意してください。

 

都合良く、パーツの大きさに適合した容器、清潔な氷と水があるとは限りませんので、臨機応変さが必要になりますが、例えその場に氷がなくても、ともかく清潔な状態を保って少しでも冷やすことが大切です。水だけでも効果があります。冷やしすぎても駄目ですが、温度が高いと、血流を失ったパーツは、夏の生モノのように傷んでいきます。細胞が死んでいくのです。

止血さえすれば、1分1秒を争うような事態ではありません。ここは冷静になりましょう。

また、パーツは、例え損傷が酷くても、残っているならとにかく全部持っていきましょう。再接合できる場合もありますし、すぐに使える自分の皮膚や筋肉があるということは、拒否反応の心配がないため医療現場では大事なことです。

 

③急いで病院へ
“パーツ”は、上記の冷却保存であれば、8時間の猶予があると言われていますが、当然、早ければ早いほど再接合できる可能性が高まります。

 

④緊急手術
病院についたらすぐに手術です。現代では、マイクロ・サージャリー法という、実体顕微鏡(マイクロスコープ)を用いながら、骨を固定し、超微細な針と糸で腱、神経、血管を縫合していくという手術が確立されています。医術の進歩、恐るべしです。あとはお医者様の腕次第になります。

 

⑤術後
つなぎ直した部分がどれだけ復元するかが肝になります。血管がしっかりつながり、血流が正常に戻れば、細胞が壊死することはないため、見た目は大丈夫です。腱や神経の修復具合は、損傷箇所の機能に関わってきます。

 

■再接合が難しい場合

例えば大型のカッターなどが原因で、綺麗に切断されている場合は再接合できる可能性はかなり高くなりますが、プレス機に挟んでしまったというような、神経や細胞、動脈や静脈が潰れてしまっている場合や、既に細胞が壊死してしまっている場合、切断面を火傷している場合などは、再接合が難しくなります。

特に再接合で重要なのは、腱、神経、血管のつなぎ直しで(骨は代替物がある)、その部分がどれだけキレイに残っているかで、成功率も回復度合いも変わってきます。当然、指よりも腕、腕よりも足、といったように、構造が大きく複雑になるほど、結合箇所が多くなるため、手術は難しくなります。

 

■回復の度合い

再接合には成功しても、当然に傷跡は残りますし、完全に機能まで回復に至るケースは多くないようです。特に一度途切れてしまった神経が完全に元の状態に戻るのが難しく、長いリハビリが必要になります。

 

これ、予備知識なかったら、イメージ先行で、氷の中にマルっと突っ込んじゃいそうですよね。

何なら冷凍保存した方がいいんじゃないかとすら思ってました、私。

 

むしろこの知識は、誰かがこの状況に陥った時に、必要になるものです。

 

自分の指や腕だったら、止血に精一杯で、そこまで頭が回るとは思えません。

ワンピースのシャンクスとか、進撃の巨人のエルヴィン隊長とか、バキの愚地独歩とか、片腕なくなっても意識を失わずに動いてますが(独歩先生は切断された方の腕で殴ってましたが)、さすがにあそこまでの心力を一般人は持っていませんので、わかっていても無理だと判断しておくべきでしょう。実際、止血すら冷静にできない気がします。

指ならともかく、腕だとおそらく出血と激痛のショックで意識を失います。その状況になった誰かを止血して、パーツを保存してあげなければならないのです。

 

最後に、もう一度まとめておきます。

 

指や腕を切断してしまったら。

①まず止血
②再接合するパーツはビニール袋などで密封
③4℃くらいの氷水に(直で浸けるのはNG)

④病院へ急ぐ

 

これでざわ・・ざわ・・も解消です!

サバイバルポイント

指や腕を切断してしまったら
①まず止血
②再接合するパーツはビニール袋などで密封
③4℃くらいの氷水に(直で浸けるのはNG)
④病院へ急ぐ