国民的アニメと言っても過言ではないルパン三世シリーズ。
2015年に30年ぶりのテレビシリーズ(最近の言い方だと、「4期」に当たる)が放送されたことで、その秀逸な脚本と、衰えないキャラクターの魅力を再確認したことで、改めて僕のルパン魂に火が点いた。
原作はモンキー・パンチさんだけど、原作の漫画よりもアニメの方が遥かに有名で、ここまで原作とテンションが違うアニメ作品も珍しいだろうってくらいに、漫画とアニメは別物。原作はハードボイルドでギャグとかほとんどない。
テレビシリーズの最初の放送は1971年(ということに今更ながら驚く)。
もちろん僕は生まれてもいない。そもそも、ルパンは漠然と好きだったけど、ものすごいファンかというと、きっと違った。金曜ロードショーでお馴染みのテレビスペシャルは何故かちゃんと見ていたのと、宮崎駿さん、いわゆるジブリルパンの『カリオストロの城』にはご多聞に漏れず感銘を受けていたものの、通常のテレビシリーズなんて、再放送を何話かツマミ食いしていた程度。あとはやたらパチンコ台になってるなぁ、くらいの心中だったと思う。
2015年のテレビシリーズで「ややや!」と興味を持って、これまでのシリーズを最初から全部観てみようと思ったのです。
いやー、すごい時間かかった。半年かかった。
初代ルパン三世アフレコが、今は亡き山田康雄さんって知ってる人は減ったよね?
既にクリカンさん=ルパン三世だよね、たぶん。
ルパンの歴史を簡単に。
〇原作:1967-1969年『漫画アクション』に連載。全94話。
〇テレビシリーズ第1期(読売テレビ):1971年-全23話「青ジャケ」「緑ジャケ」
〇テレビシリーズ第2期(日本テレビ):1977年-全155話「赤ジャケ」
〇テレビシリーズ第3期(読売テレビ):1984年-全50話「(幻の)ピンクジャケ」
〇テレビシリーズ・スピンオフ(日本テレビ):2012年-「峰不二子という女」全13話
〇テレビシリーズ第4期(日本テレビ):2015年-全26話(日本未放映2話を含む)「青ジャケ」
〇テレビスペシャル(年1回くらい放送するやつ):全25作品(コナンと絡むものも含む)
〇劇場用アニメ:全9作(2作目がカリオストロ・コナンと絡むものも含む)
歴史がすごい。
今年で45周年。
ルパンは映画もテレビスペシャルも名作だらけだけど、通常のテレビ版でも数々の名作がある。
最大の人気を誇った2期は、ルパン人気を決定付けたと言っても過言ではないシリーズ(正確にはこの2期の再放送で人気が根付いていった)。だから、ほとんどの人の記憶では、ルパンのジャケットのイメージは『赤』なのだ。2期は本当に名作が多くて、語り継がれる名曲が生まれたのも、宮崎駿さんが『カリオストロの城』を作ったのも、この2期の時代。
今回取り上げたいのは、その2期の中でも、屈指の名作とも言われている、
1979年3月12日放送の 第74話 『恐怖のカメレオン人間』
ストーリーは割愛するが、映画一本分の脚本を30分に詰め込んだような速さで物語は進行していく。
ちょっと筋がおかしいストーリー展開も、演出ミスも、斬鉄剣の事象を超越した切れ味も(いつものことだが)、ラストのルパンの有り得ない機転も、その全てがとてもルパンで、ルパンじゃなかったらツッコミ必至の内容だが、それでもとにかく面白い。無茶苦茶だけど面白い。
全てを通して観て思うことは、「最近のルパンは昔より面白くなくなった」的なことを言われたりもするのだが、作品としては当然近年のものの方が構成がしっかりしていて完成度は高い。無茶ではあるが、論理破綻が少ない。一方昔のは、無茶がありすぎて、ミスも論理破綻もけっこう見られる。おそらくここが境界線で、皆がルパンに求めているものは破天荒そのもので、自由で、有り得ないことをやってしまうところだったはずで、それを視聴者は許してきた。ところが近年は、冷静な視聴者も多く、過剰な論理破綻や単純なミスは、ネットで叩かれたりもする。だからルパンはちょっと大人になってしまったのだ。この感覚の違いは、一種の懐古主義なのだろうと思う。
だって現代のルパンは、戦車の装甲が普通の弾丸じゃ貫けないからって、五右エ門にダイヤモンドを弾丸状にカットしてもらい、それを撃って戦車の装甲を貫く、なんて真似はしないと思う。昔はダイヤモンドは地上で一番硬くて、その弾丸なんだから何でも貫ける、ルパンあったまいいー!それだけで良かった。でも今は、ダイヤモンドでも割れることがあるくらいは誰でも知ってるし、銃の仕組みも調べればわかる。「弾丸状にしたってダイヤモンドじゃ撃ち出せないよ。火薬ないじゃん」・・・ってなるに決まってるのだ。
さて、 『恐怖のカメレオン人間』での問題のシーンは、ストーリーの中盤で訪れる。もはやストーリーの背景とか、そもそもどうしてとか、プロットについては言及してはならない。
特殊に開発されたカラーチェンジという人間の肌の色まで変えられる薬を飲めば、カメレオンみたいになれる。黒人なら白人にチェンジもできるが、虫しか食べれなくなるという副作用がある。そういう設定。
敵地に乗り込む道すがら、喉がカラカラになっていたルパンと次元は、案内人に勧められた泉で水を飲んでしまうのだが、 これが敵の罠!泉の水にはカラーチェンジが混入されていたのだ!
水を飲んだルパンはカメレオンみたいな動きをし始めてしまう。カメレオン人間になってしまったのだ!
敵は、虫しか食べられなくなったルパンを餓死させるために殺虫剤をまいて去っていく。
もちろんルパンは罠だとわかっていて、カメレオンの仕草も芝居だった。
実は泉の水を飲んいなかったのだ!
ここで出てくる台詞。
「昔、ばあちゃんが言ってたんだ!」
「アメンボもいない水は飲めないよ」
ん!?
なんか聞いたことあるぞ。
アメンボって、最近じゃほとんど見かけないけど、これはもしかしたら、水が飲めるかどうかの判断基準になるってこと?これサバイバル事案じゃない?
というワケで、(前置きが異常に長くなったけど)調べてみた。
『アメンボは綺麗な水にしかいない=アメンボがいる水は飲める』
都市伝説なのか、田舎伝説なのか、おばあちゃんの知恵袋なのか、語り継がれてきたアメンボ伝説には、こういう公式が成り立っているのだと思われる。
ここからは、Q&A方式でアメンボの謎に迫る。
①そもそもアメンボは、水面で何してるの?
ご飯を食べてます。アメンボは狩りをする昆虫ではないので、水の上に落ちてくる昆虫を狙い、口から針を刺して体液を吸ってます。蜘蛛は自分でネットを張って獲物がかかるのを待ちますが、アメンボは自作の罠を諦め、自然の罠で待つ、ことにしたのです。つまり、水面はアメンボの狩場なのです。水がないところではエサを手に入れられないので、常に水のあるところで待っているのです。
②なんで水に浮けるの?
アメンボの細くて長い足の先は微細な毛でびっしり覆われていて、これだけで表面張力が働くのですが、さらに体内から分泌する油を毛に染み込ませて反発力も得ています(水と油ってやつ)。この二重の仕組み、表面張力と反発力でもって水に浮いています。二つ合わせるとかなり強力なため、水を蹴れるので、浮くだけでなく移動もできます。
良く水面に浮いたまま、足をこすり合わせているところを見かけますが、これは汚れがついて表面張力が弱まらないように足を掃除しているのです。ハエと同じです。ハエも足をスリスリしていますが、足の裏の吸盤についたゴミを落として、壁などに張り付けるようにしているのです。
③アメンボがいる水はキレイって本当?
アメンボは表面張力と反発力で水に浮いているため、水側に不純物、特に油などが混じっている廃水などですと、表面張力も反発力も働かなくなるため、アメンボは浮くことができません。浮くことができなければエサもとれません。繁殖できない場所にはいる意味がありません。よってアメンボは、自分が浮ける水場にしか行かないのです。結果的に、アメンボがいる水場の水はキレイなことが多く、不純物が少ないので、そういうことが言われるようになったのでしょう。
④水たまりとかにもいるけど、水がなくなったらどうするの?
飛んで移動します。彼らは羽根を持っており、飛べるのです。飛ぶのはあまり好きではないようです。
⑤一生、水の上ってこと?
実は良くわかっていません。
長いと1年くらいは生きる昆虫ですので、産卵期以外と冬場は何処かで休んでいるはずなのですが、いまいち何処で何をしているのかわかっていないのです。アメンボミステリーです。一説では、泥の中で眠っている、と言われています。
なるほど、先生ありがとう。
アメンボがいる水が、それなりにキレイであることはまず間違いない。
しかし、その水を人間が飲めるかどうかは別問題だ。
アメンボ側の水場を選ぶ基準が生態的なものではなく、「浮けるかどうか」ならば、その水に油分以外の毒性の成分が混じっていても、アメンボは気にしない、ということになる。
アメンボがいれば、飲める水である可能性は高くなるが、確実ではない。これはそういうことだろう。盲目的に飲み水とまで考えるのは早計のようだ。無論、サバイバル時には有効な判断基準の目安にはなる。
確かにルパンの言い回しも「アメンボもいない水は飲めない」なので、アメンボがいなければ論外、アメンボがいて初めて選択肢に上がる、ってことかと。
いやしかしですね、ルパンシリーズ、めちゃめちゃ楽しいのですが、
奴は、とんでもないものを盗んでいきました。。。
わたしの時間です。
サバイバルポイント
アメンボがいる水は飲める可能性は高いが、確実ではない。